フルートの音程が悪い時の解決方法
フルートは音程を取る事が難しい楽器です。低音域では音程が低くなりがちですし、逆に高音域では上ずりがちです。また、CやCisなどの頭部管に近いトーンホールの音程は上ずりやすく、逆に足部管に近いDやEは低くなりがちです。
今回は、フルートの音程が悪い時にどうすればよいかまとめてみました。
なぜフルートは音程が悪いの?
他の人と一緒に演奏する時、おそらく多くのフルート奏者の悩みとなるのが、音程がうまく合わないということではないでしょうか。
フルートの音色は性質上、差音といわれる音が聴こえやすく、音程が少しでもおかしいとこの差音がズレておかしな響きとなってしまいます。差音(Difference Tone)とは、2つの音の周波数の差を人間の耳や脳が錯覚のように認識してしまい、実際に出ている音は2つなのに3つの音が聴こえる現象のことです。
文章に書くとややこしいのですが、例えば2本のフルートで、一人が3オクターブ目のC、もう一人が3オクターブ目のFを同時に吹いてみると、なぜか2オクターブ目のFも聴こえるという現象です。
そのため、2つの音程がきれいに揃っていないと、3つ目の差音もズレてしまい、とんでもない不協和音が出来上がってしまいます。そういうわけで、フルート奏者は音程にかなり神経を使わなければなりません。
フルートの音程が高すぎたり低すぎたりする原因
チューナーを使って練習してみると、ある音は上ずっていたり、低かったりする事に気がつきます。全体的に高かったり低かったりするときには、頭部管を抜き差しするだけで改善することができますが、特定の音だけ高かったり低かったりする場合には注意が必要です。
そんな時は、次のポイントをチェックしてみてください。
1、頭部管の向き
2、頭部管の抜き具合
3、楽器の構え方
4、反射板の位置
5、息のスピード
6、その他
そんな時は、次のポイントをチェックしてみてください。
1、頭部管の向き
2、頭部管の抜き具合
3、楽器の構え方
4、反射板の位置
5、息のスピード
6、その他
・音程が高い
まずは音程が高い場合に考えられる問題点を確認してみましょう。
1、頭部管の向き
頭部管を外側に向けすぎていると、音程は上ずりやすくなります。楽器によっては頭部管と本体にマークが付いている事があります。しかし、それは全く当てにならないので、合わせることはやめましょう。そして、自分が吹きやすい位置を探す必要があります。
まず縦からフルートを眺めたときに、歌口の中心とキーの真ん中の線を一直線上にセットします。そして、その位置を基準にするために、頭部管とボディーの継ぎ目の部分に油性マジックなどで印をつけましょう。フルートは金属なので、あとで布でこすれば簡単に消すことができます。
印をつけた位置を基準に、少しずつ内側や外側に頭部管を向けていき、一番良い音が出て吹きやすいポジションを見つけましょう。吹きやすい良いと思った角度を見つけたら、シールやマニキュアなどで消えないような印をつけておくと良いです。
私はシャープペンシルの先っぽなどのとがった金属でフルートに小さな傷をつけて目印にしていますが、のちに角度を変えることが多いので楽器が傷だらけになり、あまりお勧めできない方法です。しかし、傷をつけておくほうが正確にセットできますし、何ヶ月も経ってから元に戻すこともできるのでそうしています。
私はシャープペンシルの先っぽなどのとがった金属でフルートに小さな傷をつけて目印にしていますが、のちに角度を変えることが多いので楽器が傷だらけになり、あまりお勧めできない方法です。しかし、傷をつけておくほうが正確にセットできますし、何ヶ月も経ってから元に戻すこともできるのでそうしています。
2、頭部管の抜き具合
楽器のメーカーにもよりますが、頭部管の抜き具合はだいたい3~5mmです。
時々、1cm以上も頭部管を抜いている人を見かけますが、抜きすぎると無意識に息の角度を上にしすぎてしまい、音色がぼやけたり音程が上ずってしまいます。また、低音域がやたら低く、高音域が上ずる原因になってしまいます。
頭部管を5mm程度抜いた位置にセットし、できるだけ小さめにアパチュアを絞り、速い息をフルートの歌口に入れるようなイメージで吹けば、よく通る音で息も持つようになるでしょう。
3、楽器の構え方
身体のどこかに変に力が入っていたり、フルートを上げすぎたり下げすぎたりすると音程に影響します。演奏中に不必要に身体を動かすことも重心が上がってしまい、音程を悪くする原因となります。
多くの場合、楽器を水平に構えようとして重心が上がってしまっています。ブレスの時に喉から変な音が聴こえる事もあります。
このような場合、楽器の構え方を変えたほうが良いでしょう。フルートを斜めに下げて演奏したほうが、上半身や腕をリラックスして演奏できます。重心が下がるので息が長くなったり、不必要に楽器を振り回して踊る事も減ると思います。
見た目の美しさは無いかもしれませんが、まずは身体に不必要な緊張がかからないようなリラックスした姿勢でフルートを吹いてみましょう。
頭部管の中の反射板の位置が正しくないと、良い音程で演奏する事はできません。反射板のコルクが劣化していると、掃除棒で水滴を取る際にズレてしまいます。掃除棒についている線で確認してみましょう。明らかにズレていれば、自分でクラウンを回して反射板の位置を調節するか、楽器店で直してもらう必要があります。すぐに反射板がずれてしまうときには、コルクが劣化しているので楽器店で交換してもらいましょう。
4、反射板の位置
頭部管の中の反射板の位置が正しくないと、良い音程で演奏する事はできません。反射板のコルクが劣化していると、掃除棒で水滴を取る際にズレてしまいます。掃除棒についている線で確認してみましょう。明らかにズレていれば、自分でクラウンを回して反射板の位置を調節するか、楽器店で直してもらう必要があります。すぐに反射板がずれてしまうときには、コルクが劣化しているので楽器店で交換してもらいましょう。
これは私の個人的な意見ですが、反射板の位置は掃除棒などで目で見て調整するよりも、少しずつ回しながら耳で調整したほうが良いです。クラウンを1mmほど回すだけで、楽器の反応や音色が変わるため、私は何ヶ月もかけて少しずつ反射板の位置を調整しています。もちろん、ここまでする必要は無いのですが、自分の頭部管の音色や音程が気に入らない場合は、このようなやり方もあると言う事を知っていただければと思います。ほとんどのフルート奏者はクラウンに触れる事をご法度にしていますが、頭部管の本当の性能を引き出すためには自分で反射板の位置を調節したほうが良いと私は考えています。
5、息のスピード
大きい音を出そうとして息を出しすぎた結果、音程が上ずってしまうのもフルート奏者の悩みです。そういう場合には一度冷静になり、息とアパチュアの大きさを適切にコントロールすることで、音程が安定するでしょう。速くて難しいフレーズが来たときや、ダブルタンギングが続くフレーズでよく起こりがちです。
6、その他
調整不足でキーがちゃんとふさがっていないと正しい音程で演奏する事はできません。
古い楽器の場合、そもそもの基本ピッチが高い事があります。ドイツの古い楽器などはA=444Hzの物があるため注意が必要です。基本ピッチが高い楽器の場合、頭部管を余分に抜いてもA=442のピアノで演奏することはかなり難しいです。
逆にフランスやイギリス製の古い楽器のなかにはA=435~448くらいのものもあります。こちらも、頭部管を差し込んだだけでは正しい音程で演奏することは出来ません。
ビンテージフルートに手をだすには、それなりの知識が必要ですので注意してください。
・音程が低い
1、頭部管の向き
音程が低くなってしまう大半の原因は、頭部管を内側に向けすぎている事でしょう。
ランパルやニコレ、モイーズに代表されるフレンチスタイル(当時はA=436~440くらいでした)は未だに人気があります。彼らはいわゆる『ウチ吹き』という頭部管をかなり内側にセットして吹いています。その吹き方を真似している方もいらっしゃいますが、それは昔のフランスのフルートの吹き方であり、現代のほとんどの楽器には向いていません。
アルタスやアキヤマなどはそのような奏法でも問題なく演奏できるようフルートを改良し、A=442で問題ないように設計されていますが、ムラマツやサンキョーなどの楽器でそのような吹き方をすると、かなり音程が悪くなってしまいます。また、鼻をつまんだような音色になってしまいます。
音程が高すぎる時の問題点にもやり方を書きましたが、楽器を縦から眺めて、歌口の中心とキーの真ん中の線を一直線上にセットし、油性マジックなどで簡単に印をつけ、そのポジションを基準に少しずつ内側や外側に頭部管を向けていき、一番良い音が出て吹きやすい角度を見つけましょう。
良いと思った角度を見つけたら、シールやマニキュアなどで印をつけておくと良いです。
2、頭部管の抜き具合
音程が低すぎる場合にはおそらく頭部管を楽器に入れすぎている、もしくは抜きすぎているために息の角度が適切に保てなくなっている可能性があります。頭部管を必要以上に抜きすぎると音程が下がってしまいます。しかし、内吹きすぎるために頭部管を差しこんでも音程が上がらない可能性もあります。その場合、息の角度を上に上げる必要があります。
3~5mmくらいに頭部管を抜き、楽器が良く鳴る位置を探してみましょう。
3、楽器の構え方
身体が猫背で前のめりになっていたり、左右どちらかに極端に傾いていたり、肩を上げすぎていたり、首が前に出過ぎていたり、等々、身体を正しく使うことはとても難しいです。逆に楽器を高く構えすぎた結果、頭部管が内側を向いてしまい音程が下がっていることも考えられます。鏡の前から一度離れ、腕や上半身がリラックスして楽器を構えられる姿勢を探してみましょう。
その他、アレキサンダーテクニックやヨガなどは、演奏中の身体の使い方を専門的に勉強する方法です。
4、反射板の位置
音程が低い場合には、反射板の位置が唄口から遠くなっている可能性があります。音程が高い時と同じく楽器店で点検してもらいましょう。
5、息のスピード
ほとんど場合、息のスピードが遅すぎることが原因です。
ビブラートのための練習を参考に、お腹の底からハッハッと息を出す練習をしてみましょう。息のスピードや息の長さは、筋トレのように毎日訓練することでどんどん改善することができます。
肺活量を上げるためには、水泳などの運動をおすすめします。
6、その他
寒かったり、気分が落ち込んでいたり等々。音程が低い演奏を聴いていると、なんだか悲しい気持ちになってしまいます。
笑顔の練習をしていると気分が良くなるように、音程を上げる練習をしていると段々と自分の気持も高揚し、フルートを吹くことが楽しくなってくるでしょう。
フルートの音程が高い事は、音程が低い時よりも問題になりません。