フルート使用後の手入れ:5つのポイント

フルート使用後の方法について、なぜそうするのかという理由をもう一度見直してみます。
なんとなくフルートを組み立て演奏し、終わったら管内の水滴をとり表面をクロスで拭いますが、よく起こりがちな良くない方法をご紹介します。




1、管内の水を拭う際気をつけること


水を拭う布の材質があまり望ましいものでないものを使ってはいないでしょうか?
水滴を取るにはガーゼなどの毛羽立たない綿などの布を使用し、管の表面を拭うための布や、メガネ拭き用の布などは用いないでください。

水を拭う際、管内でクロスがタンポに接触してしまうと、タンポの表面に塗ってある油分が取れてしまい寿命がかなり縮んでしまいます。1度きりではあまり大したことはないでしょうが、何度もこのような布で拭うことは好ましくありません。

また、楽器店でガーゼは何十円かで手に入れることができます。
ガーゼが少し汚れてきたら洗濯することもできますが、何度か洗濯すると毛羽立ってきます。この小さなゴミがキーの間の隙間に挟まったりすると故障の原因となりますので、新しいガーゼを使い、古くなってきたらすぐに交換するよう心がけましょう。



2、タンポの水滴


特に歌口に近い2つの小さなトリルキーなどには、管内の水滴を拭う際に水分がトーンホールから入り込んでしまうことが多いです。
また、キーのタンポの中央部分に金属の反射板のようなものがついているものだと、水滴がそこにもたまりやすくなっています。
タンポに水滴がついたままだと、寿命を縮めてしまうことになります。

そのため、楽器店に行くと、タンポの水滴を取るためのあぶらとり紙のようなものが売っています。
注意しなければならないのは、紙の材質によってはタンポの表面の油分まで一緒に取ってしまうものがあるということです。

以前、大手国産フルートメーカーの技術者の方に、蛍光塗料などのついていないティッシュペーパーが良いと教わったことがあります。ティッシュペーパーは油をとりずらく、また仮にタンポが古くなって汚れがつき、トーンホールにくっついてしまう時にも、ティッシュペーパーの微細な繊維が汚れに付着し、トーンホールにくっついてしまうことを防ぐそうです。

このやり方は、人によっては首をかしげるかもしれませんが、私は長年試していますが問題は起こっておりません。

和紙でできたクリーニングペーパー


タンポの水滴を取る際には、紙をキーに挟んだ時、キーを閉じたまま紙を引っ張らないようにしましょう。これは最悪の方法で、これをするなら水滴を溜めたままのほうがまだタンポに負担がかかりません。
表面の油分を取ってしまい、またタンポの破れる大きな原因となりますので、絶対にやめましょう。

タンポを傷つけないようキーの間に紙をゆっくりと入れ、キーを軽くパタパタとして水分を取ったら、キーを開いてから紙を抜きます。


3、キーを拭く


キーをクロスで拭う際には細心の注意を払います。
クロスがタンポに触れたり、キーパイプの継ぎ目を拭ってしまうと故障の原因となります。
また、楽器の持ち方にも注意しましょう。
キーやリッププレートは握らないようにし、力を込めずに優しく拭います。

クロスの材質にも注意しましょう。

汚れが一番落ちやすいのはポリエステルなどの合成繊維でできた布ですが、これらは硬いのでタンポに触れた際には傷をつけやすいです。
布の材質によっては皮脂などの汚れを拭うどころか、ただ広げてしまうものもあります。

また、ハンカチなどは管の表面を傷つけてしまうものもあるので、必ず楽器専用のものを用いましょう。

私は長年、アルタスのフルートを購入した際についてきた、薄くて小型のクロスを2枚使っています。ドルチェ楽器に売っているものもオススメです。
布が薄くてサイズも大きくないので扱いやすく、汚れも良く取れます。

かれこれ10年以上使用してきた私のくたびれたクロス。まだまだ使います。

上の写真の水色のものがアルタスの楽器についてきたもの。
赤い布はドルチェでピッコロを買った際にいただきました。ともに同じ材質、厚さでとても使いやすいです。
ドルチェではこれ以外の色も売っているはずです。



4、ケースにしまった後


フルートを綺麗に拭き、ケースにしまった後確認したいことは、楽器がケースの中でガタガタしないかということです。
楽器の揺れを軽減するために、ウレタンやスポンジのようなものを入れ楽器を固定することもできます。

ムラマツで楽器を調整するとついてくるスポンジ状の角材。

5、カバンに入れる時


楽器は縦揺れに大変弱いので、カバンに立てて入れる場合には頭部管側が下になるように入れましょう。こちら側の方が、本体と足部管側の継ぎ目よりも丈夫です。
そして、できるだけ縦揺れしないよう持ち運びましょう。

楽器を持って走ったり、自転車のカゴなどに楽器を入れることは禁物です。
遅刻しそうでダッシュしたりせず、フルートを持ち運ぶ時は優雅に余裕を持って行動したいものです。



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