シュヴェードラーフルートの写真
普通のフルート(ベーム式)とシュヴェードラーフルートの写真です。特徴的な頭部管やキーシステムなど、とても興味深い楽器です。
シュヴェードラーフルートの写真
私の所有するシュヴェードラーフルートはM.M.Mönnigの後期のもので、頭部管の金属の部分が初期のものに比べて長めに作られています。
テーパーの変更等、主に音量の強化を狙ったものだと思われます。
現代でもナガハラのフルコンサートモデルように、頭部管のテーパーの長いモデルが発売されていますね。
シュヴェードラーフルートの管体は円錐管です。
頭部管が太く、足部管に向かって細くなっています。
上の写真左は現代のベーム式のムラマツです。
現代のベーム式フルートは、ほとんどのものが頭部管が足部管に向かって放物線上にふくらみ、ボディーは円筒管になっています。
私の所有するシュヴェードラーフルートのピッチは高すぎず低すぎず、A=440でおおむね現代の演奏シーンでも使えます。
ただし1オクターブ目のAの音程だけがほかより妙に高いので、
正確にはどのくらいのピッチを目安にスケール設計をしてあるのかはわかりません。
また、頭部管内部の反射板の位置もベーム式とは異なっているようです。
一度、掃除棒についているベーム式の目盛に合わせてみましたが、
かなり音程が悪かったので試行錯誤の結果、
ベーム式よりも少し奥(歌口の中心から反射板までの距離がベーム式よりも長め)
の位置で安定しました。
特定の音が妙に音程が悪かったり音質が異なっていたりと、現代のベームフルートに慣れた耳からすると、シュヴェードラー式フルートにはベーム式フルートに張り合うだけの正確さや均一性はありません。
また最高音域の特定の音程の不安定さも少し気になります。
ベーム式に比べ、ゴツゴツしています。
右手人差し指にはf,fis,c,cis,aisの5つのキーを操作する必要があります。
↑足部管です。
ベーム式と同じように下のhまで出ます。
メーニヒのモデルで特徴的な大きな Cis および C キーです。
左が esキー、真ん中したが Cis、上が C、そして右が hキーとなっています。
かなりドイツ的というか、いかつい感じがします。
ここがカッコいいと思ったことが、私がシュヴェードラーフルートを吹いてみたきっかけの一つでした。
シュヴェードラーフルートの最大の特徴である、歌口の両脇にある隆起です。
現代の楽器にもアドラーやツバサなど様々な名称で呼ばれるものがありますが、シュヴェードラーフルートのものはかなり大きな隆起であり、また形状もかなり異なっています。
この隆起がついたフルートはレフォームフルート(Reformflöte)と呼ばれていました。
シュヴェードラーも自身の作ったフルートの事をレフォームフルートと呼んでいます。
はっきりと分類されているのか私にはわかりませんが、シュヴェードラー式のものはシュヴェードラーフルート、シュヴェードラーフルートの歌口に隆起のついたものはレフォームフルートということでしょうか。
この隆起のおかげか、ベーム式に匹敵する豊かな音量で演奏する事が出来ます。
シュヴェードラーが、自身で発明したフルートを用いブラームスの交響曲第4番を演奏したとき、ブラームスはそのフルートの表現力の大きさにたいそう感激した話は有名ですが、低音の豊かな響きや音程の跳躍時の滑らかさなどはこの隆起による息のコントロールのたやすさにあると思われます。
シュヴェードラーフルートは、ベーム式フルートよりも後に作られました。
円錐管のベーム式フルートの音色は、力強さとともにヒステリックになりやすく、ワーグナーをはじめ当時の音楽家には賛否両論のところがありました。
シュヴェードラーもそういったなかで自身のフルートを考案していきました。
シュヴェードラーがおそらく最も重視したのは、フルートは円錐管であるべきという事であると私は思います。
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