レフォームフルートの歌口
レフォームフルートとは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席フルート奏者であったマクシミリアン・シュヴェードラーが、楽器製作者カール・クルスペ(Carl Kruspe)や、後年モーリツ=マックス・メーニヒ(Moritz-Max Mönnig)と共に開発したフルートです。
ベーム式フルートが発明された後も、シュヴェードラーは円筒管のフルートの音色に強い不満を持っていました。
そして、伝統的な円錐管のフルートにベーム式の特徴を取り入れ独自のフルートを開発しました。
この記事では、シュヴェードラー=レフォームフルートの持つ特殊な歌口の形状を見てゆきましょう。
レフォームフルートの歌口
レフォームフルートは、歌口の横に大きな隆起が取り付けられています。
歌口に付けるという発想はシュヴェードラーが考案したものではなく、さらに古い時代からフルートには用いられていました。
しかし、レフォームフルートほど大きな隆起を持ったフルートはほとんどありません。
この隆起の形状はクルスペ(K.Kurspe)の考案したものであると、シュヴェードラーは自著『フルートとフルート奏法』で述べています(※参照『歌口とその形状』)。
シュヴェードラーがこの歌口の形状を、唇の延長であると考えていたことが書かれています。
現代のラファンなどの頭部管についている『アドラー』や、ムラマツの『ツバサ』などと似ていますが、発想が少し異なっているようです。
現代のラファンなどの頭部管についている『アドラー』や、ムラマツの『ツバサ』などと似ていますが、発想が少し異なっているようです。
材質
リッププレートの材質は、プラスチック製です。
19世紀後半から20世紀まで、ドイツではプラスチック製のリッププレートを持ったフルートは珍しくありませんでした。
プラスチック製のリッププレートの持つ音色は、独特の暖かさや柔らかさを持っています。
金属の鋭い響きが好まれなかった時代には、プラスチック製の楽器がたくさん作られました。
レフォームフルートの唄口は左右が大きく盛り上がっており、息が入りやすくなっています。
レフォームフルートの音色
ブラームスの交響曲第四番の4楽章の有名なフルートソロの箇所で、作曲者がシュヴェードラーの演奏を聴いた時感激したと逸話が残っています。
私もレフォームフルートでこの旋律を吹いてみました。
最近手に入れた、ブラームスの生きていた時代に吹かれていたフルートで。一番低いEsの音程が低くてトーンホールを削るつもりですが、いまいち勇気がなくてまだやっていません。#フルート #オケスタ pic.twitter.com/HdSF78UpUH
— 佐藤直紀🇨🇿フルート (@fuesou) October 17, 2021
シュヴェードラーの演奏技術もさることながら、当時の円筒管ベーム式フルートの持つボヤけた音色より、レフォームフルートは低音が特に良く鳴ったためであると考えられます。
運指
レフォームフルートの運指は、現代のベーム式とは少し異なります。
ベーム式とは大きく異なる点は、♯ファの運指と、中音のドの運指です。
そのため第3オクターブの運指は、ベーム式フルートとは全く違います。