フルートを吹くときの衣装についての考察

 演奏会の時に何を着るかということに関して、特に女性は熟慮されていると思われますが、音響面で何を着るかと考えられることはほとんど無いかと思います。

着こなしに関して私は人様にご意見できるようなセンスは残念ながら全く無いので、今回はあえて、どういった服を着れば音響的にすぐれているかを考察してゆきます。




フルートの演奏会で何を着れば良いか


フォーマルな演奏会の場合には、女性はドレス、男性は燕尾やスーツなどの上着を羽織ります。
その時に男女関係なく共通して気をつけなければいけないのは、なるべく厚い生地の服は避けた方がよいということです。
女性のドレスは肩から首回りにかけてあいていることが多いのであまり、心配はいりませんが、ドレスによっては首に生地がかかってくるものもあるでしょう。

男性の燕尾に関してはどうしようもありませんが、できればスーツなどは軽くて薄めの生地を選びたいところです。夏物などでしょうか。

実は、服装によってかなり楽器の音の通り方に影響しています。

数年前に、とある講習会に参加した時、女子大生の受講者が首にストールを巻いて演奏していたのですが、しばらくフルートを吹いていて熱くなったのか彼女がストールを取った時に、先生や私を含めた聴講生がはっきりとわかるほどに音の響きが変わり、皆驚きました。
具体的に言えば彼女の音色はストールを巻いていた時よりも取った時の方が大きく、また太い音色に聞こえました。
そういう変化を耳にしてから、いままでは楽器の音色は奏者のアンブシュアと、お腹から息を出したり喉や口の中を開いたりといった息遣いのテクニックのみが音色に影響すると考えていたのですが、衣装だけでもかなり音色が変わってしまう事に驚いたことで、いままで全く意識してこなかった、フルートを吹く時の服装に関して少し考えるようになりました。


冬の寒い時期は何かと厚手の服を着ていますが、やはりフルートの響きにかなり影響しているでしょう。
試しに厚めのコートを羽織ってフルートを吹いた後に、脱いでみてください。はっきりと違いがわかるかと思います。

一番顕著なのは首に何かを巻く事でしょう。
フルートは楽器だけでなく、吹いている人の身体からも響きが出ているようです。

華やかなドレスを着る事はお客さんにとっても、また演奏者自身にとっても喜びとなりますが、頭の隅にほんの少しだけでも生地の厚さが音に影響するという事を意識してみる事も、フルートを吹く上では少しは役に立つのでは無いでしょうか。

普段、なかなか意識される事の無いとても些細な事ですが、フルートの音色を大切にする上では、実はとても大切な事では無いかなと私は思っております。


靴に関して

演奏家として人前に立つ以上、どうしても見た目が良いものを選んでしまいがちなのが靴です。
履いた時に見た目が良いものは大抵、かかとの丈が高いものが多いかと思われます。

特に女性は、ハイヒールなどの丈の高いものを履いてしまいがちですが、演奏している姿を見ると少々大変そうだなと思う事もよくあります。
重心があがってしまい、息が浅くなったりおなかの底から良い音が出せなくなっているようなケースをよく目にします。

ただ、私のようなオジさんには、ハイヒールを履く女性の心理がうまく理解できないところもあるので、靴の事に関してはあまりうるさく言うのも気が引けます。
女性は女性にしかわからない長所を、かかとの高い靴に感じているのでしょう。

あえて、大変に不躾なことを言わせていただけるのであれば、見た目を重視した靴を履いて変な音を出してしまうのなら、少しでも良い音色が出せるような靴を履いて演奏した方が、お客さんの印象はもっと良いのでは無いかという事です。

さまざまな有名男性フルーティストの書いた本には、かかとの高い靴は履くなと書かれていますが、高いかかとの靴を履いて演奏する方はたくさんいるので、これに関しては女性フルーティストに意見を聞くのが一番良いかと思われます。

念のため、もっと良い音色の改善を求めるなら、靴も考慮の対象になりうるということだけをお伝えしたかったのです。

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