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トリル記号の説明
トリルを実施するときには、次の記号が用いられる。
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トリル記号 |
また、短いトリルは次の記号が用いられる。
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短いトリル(プラルトリラー) |
トリルを行うときには主音を、速い動きで隣り合う音に分ける。主音にトリル記号が書かれているときには、主音から半音、または全音高い隣り合う音がトリル音となる。トリルは主音から始め、もし次のように書かれているときには上から始める。
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上から始めるトリルの例 |
和音によっては調性により、トリル音が異なることがある。
以下のように示される。
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半音階変化したトリルの表記 |
この例の場合、初めの小節は"A"ではなく"As"、次は"Fis"ではなく"F"、最後の小節では"D"ではなく"Dis"がトリル音となる。
後打音
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後打音の実施例 |
ほとんど全ての長いトリルには、後打音がつく。その場合、主音から下の音が一度が加わる。絶対にこうしなければいけないという後打音の規則は、しかしながら知られていないが、後打音が示されていないような場合にも、奏者は他の装飾音より重要かつ美しいと感じたり好んだりする時には用いられる。
また、トリルの連続の時に用いられる。
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最後のトリルのみ、後打音をいれる |
その場合に、後打音は終わりの音までは避けられる。またもし短いトリルが下へ進行する時、後打音は余計である。古い時代の大作曲家のトリルの終わり、特に教会音楽の様式では、以下の例のように付点音符にトリルが与えられる。
この場合にはトリルは音符の終わりまでするのではなく、終止音に移るために付点を取り去った音価(※訳注:この場合には四分音符分)までトリルする。この場合には以下の例のようになる。
また、次の例では、
以下のようになる。
トリルの練習方法
トリルの技術的な面でまず問題になるのが、指の力である。素早く均等な指の動きがトリルの美しさを伴う。指がうまくコントロールできず、指に力が入るとうまく達成できないので、トリルを練習する際には速く練習しないよう勧める。またこの練習は無音でできる。つまり楽器を正しい位置に構え、息を吐かずに指を動かすのである。
キーの音孔をしっかりと塞いでよく響く美しい音でトリルをするためには、顕著に指で音孔を塞ぐことは不可欠である。それによってトリルの美しさを絶え間なく傷つけてしまう大げさな素早さは避けられる。
トリルをする際にキーを押さえるときにはキーや特にレバーを用いる時には叩かず、キーに触れている感触を保てば良い結果を得ることができる。
不完全なトリル
残念ながら楽器のトリルの際にしばしばおこるのが、音の完全性に関して不十分なやり方を表示しなければならない。次の例を考慮に入れること。
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キーシステムの都合で、トリル運指が難しい音 |
素早いトリルの動きをしている間、よく訓練された耳にはトリルの音程の不足が見分けられる。それゆえ、演奏の際トリルはゆっくり始めなければならない。つぎのような方法でトリルを行えば、音楽的な聴衆は満足する。それはまずトリルをゆっくりと本来の指使いで始め、気がつかないようだんだんと速くしトリルの指使いへ移行する事である。
全てのトリルはただ指を動かして行ない、腕や楽器を揺すって行う事はしない。
プラルトリラー
短いトリルはプラルトリラー、またはただプララー(Praller)や、シュネラー(Schneller、”速い”の意)と呼ばれる。以下の記号が用いられ、とても素早く、拍の上で正確に一度主音からトリル音に移行し戻る。
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プラルトリラーの表記記号 |
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プラルトリラーの例:下段は実際に行った時の音 |
また、以下のようにも行う事ができる。
トリル音の半音的変化は、上記の長いトリルと同じであり、♯、♭、ナチュラル記号が使われる。
モルデント
プラルトリラーの仲間にモルデントがあり、バイサー(Beißer)とも呼ばれる。これはプラルトリラーのように行うが、唯一の違いは刺繍音を上ではなく、下へ短二度が用いられる事である。モルデントの記号は、プラルトリラーに垂直の線をいれたものである
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モルデント記号 |
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モルデントと実施例 |
前打音
他の主な装飾音では、長前打音、短前打音、二重前打音がある。
長前打音は次のように記され、主音から音価が前打音へ差し引かれる。
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前打音の表記 |
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均等な前打音の例と実施 |
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不均等な前打音の例と実施 |
ここでは2拍分が前打音となり、ただ付点の部分が主音となる。
短前打音は大抵、8分音符もしくは16分音符がもちいられ、音符の旗の部分にスラッシュが入れられる。
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短前打音 |
短前打音を行う時には素早くしなければならないが、遅い楽章の時には穏やかに行う事ができる。
同時に長い主音とともに始まる前打音は、たいてい短い前打音とともに現れ、その時主音は可能な限り長い音価を持つ。
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様々な音価で現れる前打音 |
同じ音程で現れる前打音は、短く軽くタンギングされる。
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同じ音程での前打音の例と実施 |
二重前打音とは二重に前打音が重なったものであり、すなわち一つは上、もう一つは下に前打音が来るものである。以下のように記される。
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二重前打音(ターン) |
二重前打音の実施は曲の性格や拍によるので、忠実なリズムに基づいて従った旋律的なフレーズの飾りであり、才能のある音楽家の感性は、常に正確に捉え、二重前打音にふさわしい形を理解する芸術体験によってみがかれる。
二重前打音は主に2つの方法で用いられる。
主音の前:
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主音の前に来た例 |
また、主音の後:
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主音の後ろに来た例 |
刺繍音が変化する時には以下のように表記される。
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臨時記号によって変化した二重前打音の例 |
上記の例では、臨時記号は二重前打音の上、または下におかれ、それぞれ上下の音が半音階的に変化する。二重前打音はまた、付点音符にも置かれ、付点部分で実施される。
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付点部分で実施される二重前打音の例 |
この全ての音楽の装飾の理論は絶対のものではなく、これらの比率はかなり異なるので、私はここでそのことについて触れておく。また、この本でわたしはただフルート演奏の完全に技術的な面を取り扱うという事を度外視しても良いならば、音楽的な装飾に関する本や練習教本について詳しい本があるということを紹介させていただく。
ソリストにとって装飾方法には広々とした余地があり、オーケストラ奏者は指揮者(しばしば、奏者にとっておかしな指示を出す)の意見に従わなければならない。正しい方法はそれぞれの場合により、実りある共同作業の利益を期待して装飾を書き出されることもある。そうすれば時々共同作業で起こる誤解や、不快な音を回避することができる。
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