自分の演奏動画が知らない著作権団体から訴えられたら。YouTubeの異議申し立て方法と対策。
YouTubeに自分の演奏動画をアップしたら謎の著作権団体に著作権を訴えられてしまった際の、異議申し立ての方法と、訴えを取り下げさせるための対策について解説します。
多くの音楽家にとって自分の演奏をYouTubeにアップし、多くの人に見てもらうといった行為は、自分の存在をアピールする上で大切な活動です。
視聴者にとっては一瞬で終わる動画も、製作者は多くの時間と心を込めて作っています。
曲の練習、マイクテスト、編集、アップロード等々、1つの動画を撮るためには膨大な時間が必要です。
しかし残念なことに現状では、オリジナルコンテンツにもかかわらず権利を主張してくる悪質な著作権管理団体がYouTube上に多く存在しています。
とくに最近、著作権侵害の異議申し立てをしても拒絶する相当悪質なものも多くなってきた感じがしますが、このような団体にあまり有効な対策はないようです。
今回は、私が異議申し立てを1度拒絶された動画を、申し立てを撤回させたまでの経緯と、そのためにやったことを備忘録としてまとめましたので、このような件で困っている方の少しでも参考になればと思います。
なお、ここに書いた方法はあくまで私個人の方法であり、公式なものではないことに留意してください。ここに書いた方で不利益を被っても、一切責任は持てません。くれぐれも自己責任でお願いいたします。
また、この記事は特定の団体を批判するものではなく、あくまでYouTubeの現状を書いたもので、このような状況が少しでも改善されることを願って書かれたものであることに留意ください。
このような現状が改善され、音楽家が不当に不利益を被ることがなくなれば、より良いコンテンツを提供できるようになるでしょう。
今朝、YouTubeから1通のメールを受けとりました。
内容は、私がバッハの無伴奏フルートパルティータを演奏した動画について、とある団体から、著作権の所有を主張されているといった通知でした。(2016/9/14追記:申立人が申し立てを取り下げたので悪質なものでないと判断し、伏字にしています。)
該当する動画を見ていただければお分かりのように、これはCDやテレビ、ラジオ等で放送されたようなクオリティーのコンテンツではなく、完全にオリジナルコンテンツ(「初心者用の楽器で、どこまで演奏表現できるか」というコンセプトのもと演奏されたもの)であると人間にはすぐに理解できます。
おそらくYouTubeのコンテンツは、機械的に音や映像を自動的に違反がないか分析して判断するようにできており、その精度はまだまだ低いせいでこのような間違いが起こってしまうことも少なくないでしょう。
そのように私は考え、この動画は私のオリジナルコンテンツである旨を日本語で記入し、著作権侵害の異議申し立てを行いました。
数時間経ってから、YouTubeからメールを受け取り、「XXX」が申し立てを拒絶した旨を受け取りました。
該当動画には広告が表示され、その収益はXXXのものになる旨、また、再度異議申し立てをし拒絶された場合には私のアカウントが違反となると表示されています。
以前にも別の動画で、別の団体に著作権を主張されたことがありましたが、異議申し立てをすればすぐに申し立てを撤回していました。
実は先月、自分の『無伴奏フルートパルティータ』の演奏の音源のみの動画をアップしていたところ、この「XXX」から著作権を主張されてしまい、仕方なしにその動画を削除しました。
そして、著作権対策用に演奏している様子も録画しながら録音し直したものを再アップしたのですが、まさかそこまでしても再び権利を主張されるとは思いもよりませんでした。
異議申し立てをする前に確認しなければならないことは、自分の演奏した曲の作曲者の著作権についてです。
今回の場合、J.S.バッハは遥か昔(1750年)に亡くなっており、著作権はすでにきれています。
また、『無伴奏フルートパルティータ』は完全にフルート1本のみの曲ですので、私が吹いている音以外の他の音源による著作権などはありません。
作曲家の死後50~70年(国によって著作権の有効年数は異なる)経っていない曲の場合には、『One or more music publishing rights collecting societies』のような著作権管理団体に著作使用料として広告収入を折半することが求められるようです。
どうやらYouTubeのヘルプに記載されているように、この『One or more music publishing rights collecting societies』や『Music Publishing Rights Collecting Society』はYouTube公式の団体のようです。
参考:YouTubeヘルプ
しかし、故意であれ機械の誤作動によるものであれ、オリジナルコンテンツに対し不当に権利を主張されてしまった時は、以下の点に注意して異議申し立てを行います。
私の経験上、英語で申し出をすることが必要でしょう。
日本語の場合、いくら長文で根拠を書いても相手が読めなければ拒絶されてしまう恐れがあります。
英語に自信のなくても相手に言い分が伝わるように書きましょう。
私の酷い英語でも通じ、異議申し立てを取り下げることができました。
私は英語ができないので、おそらく酷い文章なのでしょうが通じれば良いのです。
もしこの英文を訂正してくださる奇特な方がいらっしゃいましたら、Twitterまでお願いしますm(__)m
作曲者の著作が切れていることを、はっきり書きましょう。
Wikipediaの作曲者のページのリンクを貼ると良いでしょう。
相手が音楽に通じているとは限りません。
むしろこのようなところで働いている人は、バッハがいつ亡くなったかについて知らない人の方が多いと思われます。
音楽家にとっては当たり前すぎて常識的なことも、もしかすると違反しているか審査する人は全く知らないかもしれません。
素人でもわかるよう全てはっきり書き、可能な限りWikipediaなどの外部でも著作権の有無が確認できるような文を書きましょう。
不当に権利を主張されてしまったのですから、こちらも強く出る必要があります。
日本人の美徳である遠慮や謙虚さは捨て、不当に権利を主張するならば戦う覚悟があることを主張しましょう。
自分のせっかく作った大切なコンテンツは自分で守る必要があります。
実は、先述の動画は1度申し立てを拒絶された後、YouTubeから消し、再度アップし直した後、再び来た著作権侵害の申し出を撤回させています。
1度申し出を拒絶されてしまうと、アカウントが健全である状態に響きますし、また再度申し立てをする際には住所などの個人情報を記入する必要が出てきます。
わけのわからない団体に自分の個人情報をさらすことはできるだけ避け、1度YouTubeから削除し、再度同じ動画をアップした後に、以下の対策をすることをおすすめします。
オリジナルコンテンツである根拠を示すために効果的だったと思っていることは、対策用動画を作り、同時にYouTubeにアップしたことです。
私の場合には製作途中の様子がはっきりわかるものを、同時にアップし、異議申し立て欄にそのアドレスを貼りました。
上記の手段で著作権侵害の申し立てをしたところ、この『XXX』という団体はすぐに撤回してくれました。
今回は、悪意のあるものではなく機械の誤認識によって起こってしまったのであると思います。
余談になりますが、対策用動画にも『A----- (Publishing)』(-は伏字)なる団体が、楽曲の著作権を主張してきました。
バッハの作品に対しこのように著作権を主張してくるこのような団体は、かなり悪質であるのかもしれません。
このような場合、会社のホームページなどを探しても全く見つからないことがほとんどです。
(2016.9/14追記:A-----のホームページを見つけました。『A-----はあなたのコンテンツから最大限の収益を生み出します』などと書いてあるとんでもない団体のようです。著作権の仕組みをよくわからない人が見たら、だまされるようなことが書いてあり、YouTubeに報告しました。ちなみに異議申し立てをして2週間経ってもなんの返信はありません。30日以内に何かリアクションがあればまた追記します。)
それでも著作権を主張してくる場合には以下の対策が考えられます。
とにかく動画を一旦消し、再アップしましょう。
アップしたら、文面を変えて異議申し立てを申請してみましょう。
数を多く打てば当たる可能性があります。
また著作権情報を確認できるリンクを必ず載せておきましょう。
何度異議を申し立ててもダメな場合には、YouTubeにメールを送ってみましょう。
著作権に関するお問い合わせ先
異議申し立て通知の要件
なお、問い合わせる際には文章は感情的に書かず、必ず自分が権利者であることを証明できるものを明記して、冷静に問い合わせましょう。
対応する人も人間です。
お互いにストレルなくスムーズに処理を済ませられるようにするためには、怒りなどの感情は抑えましょう。
ここに書いたことはあくまでも正当なオリジナルコンテンツが、不当に著作権を主張されている場合にのみ有効です。
そもそも違法にコンテンツをアップロードするものが後を絶たないため、YouTubeも機械による自動認識システムを導入しなければならず、そのために多くの誤認が起こっています。
そして、それを悪用する業者が数多く存在しているのが現状です。
このような悪行がなくなること、そして健全な環境で創作物が評価されることが実現するよう願っています。
はじめに
多くの音楽家にとって自分の演奏をYouTubeにアップし、多くの人に見てもらうといった行為は、自分の存在をアピールする上で大切な活動です。
視聴者にとっては一瞬で終わる動画も、製作者は多くの時間と心を込めて作っています。
曲の練習、マイクテスト、編集、アップロード等々、1つの動画を撮るためには膨大な時間が必要です。
しかし残念なことに現状では、オリジナルコンテンツにもかかわらず権利を主張してくる悪質な著作権管理団体がYouTube上に多く存在しています。
とくに最近、著作権侵害の異議申し立てをしても拒絶する相当悪質なものも多くなってきた感じがしますが、このような団体にあまり有効な対策はないようです。
今回は、私が異議申し立てを1度拒絶された動画を、申し立てを撤回させたまでの経緯と、そのためにやったことを備忘録としてまとめましたので、このような件で困っている方の少しでも参考になればと思います。
なお、ここに書いた方法はあくまで私個人の方法であり、公式なものではないことに留意してください。ここに書いた方で不利益を被っても、一切責任は持てません。くれぐれも自己責任でお願いいたします。
また、この記事は特定の団体を批判するものではなく、あくまでYouTubeの現状を書いたもので、このような状況が少しでも改善されることを願って書かれたものであることに留意ください。
このような現状が改善され、音楽家が不当に不利益を被ることがなくなれば、より良いコンテンツを提供できるようになるでしょう。
経緯
今朝、YouTubeから1通のメールを受けとりました。
内容は、私がバッハの無伴奏フルートパルティータを演奏した動画について、とある団体から、著作権の所有を主張されているといった通知でした。(2016/9/14追記:申立人が申し立てを取り下げたので悪質なものでないと判断し、伏字にしています。)
Content ID を使用している著作権所有者が、お客様の動画に含まれている素材を申し立てました。
これは一般的なお知らせのメールです問題が発生しているわけではありませんので、アカウントの状態への影響はございません。
動画に広告が表示されて著作権所有者が収益を受け取っているか、または動画の視聴回数についての統計が著作権所有者に送られてい ます。
- 動画のタイトル: J.S.Bach: Paritita in a minor for solo flute, bwv.1013
- 著作権で保護された曲: Allemande
- 申立人: XXX
該当する動画を見ていただければお分かりのように、これはCDやテレビ、ラジオ等で放送されたようなクオリティーのコンテンツではなく、完全にオリジナルコンテンツ(「初心者用の楽器で、どこまで演奏表現できるか」というコンセプトのもと演奏されたもの)であると人間にはすぐに理解できます。
おそらくYouTubeのコンテンツは、機械的に音や映像を自動的に違反がないか分析して判断するようにできており、その精度はまだまだ低いせいでこのような間違いが起こってしまうことも少なくないでしょう。
そのように私は考え、この動画は私のオリジナルコンテンツである旨を日本語で記入し、著作権侵害の異議申し立てを行いました。
異議申し立てを拒絶される
数時間経ってから、YouTubeからメールを受け取り、「XXX」が申し立てを拒絶した旨を受け取りました。
お客様の異議申し立てを確認した後、XXXさんは著作権侵害の申し立てが依然として有効であるとの結論に達しました。
動画のタイトル: J.S.Bach: Paritita in a minor for solo flute, bwv.1013
著作権で保護された曲: Allemande
申立人: XXX
該当動画には広告が表示され、その収益はXXXのものになる旨、また、再度異議申し立てをし拒絶された場合には私のアカウントが違反となると表示されています。
以前にも別の動画で、別の団体に著作権を主張されたことがありましたが、異議申し立てをすればすぐに申し立てを撤回していました。
実は先月、自分の『無伴奏フルートパルティータ』の演奏の音源のみの動画をアップしていたところ、この「XXX」から著作権を主張されてしまい、仕方なしにその動画を削除しました。
そして、著作権対策用に演奏している様子も録画しながら録音し直したものを再アップしたのですが、まさかそこまでしても再び権利を主張されるとは思いもよりませんでした。
異議申し立てをする前に確認すること
異議申し立てをする前に確認しなければならないことは、自分の演奏した曲の作曲者の著作権についてです。
今回の場合、J.S.バッハは遥か昔(1750年)に亡くなっており、著作権はすでにきれています。
また、『無伴奏フルートパルティータ』は完全にフルート1本のみの曲ですので、私が吹いている音以外の他の音源による著作権などはありません。
作曲家の著作権の切れていないもの
作曲家の死後50~70年(国によって著作権の有効年数は異なる)経っていない曲の場合には、『One or more music publishing rights collecting societies』のような著作権管理団体に著作使用料として広告収入を折半することが求められるようです。
どうやらYouTubeのヘルプに記載されているように、この『One or more music publishing rights collecting societies』や『Music Publishing Rights Collecting Society』はYouTube公式の団体のようです。
参考:YouTubeヘルプ
英語で書く
私の経験上、英語で申し出をすることが必要でしょう。
日本語の場合、いくら長文で根拠を書いても相手が読めなければ拒絶されてしまう恐れがあります。
英語に自信のなくても相手に言い分が伝わるように書きましょう。
私の酷い英語でも通じ、異議申し立てを取り下げることができました。
This piece "Partita for solo flute bwv.1013" comporsed by Joh.Seb.Bach(1685-1750),it's means,this piece is already public domain.See this Links.
https://en.wikipedia.org/wiki/Johann_Sebastian_Bach
And this play by me,so you have no rights of this video or audio. See this URL;(
※後述著作権対策用動画のアドレス). IF YOU DON'T WITHDRAW YOUR DEMUR ABOUT MY CONTENTS,I CAN SEND TO YOUTUBE THE REASONABLE AND LEGAL DEMAND.
私は英語ができないので、おそらく酷い文章なのでしょうが通じれば良いのです。
もしこの英文を訂正してくださる
はっきりと根拠を示す
作曲者の著作が切れていることを、はっきり書きましょう。
Wikipediaの作曲者のページのリンクを貼ると良いでしょう。
相手が音楽に通じているとは限りません。
むしろこのようなところで働いている人は、バッハがいつ亡くなったかについて知らない人の方が多いと思われます。
音楽家にとっては当たり前すぎて常識的なことも、もしかすると違反しているか審査する人は全く知らないかもしれません。
素人でもわかるよう全てはっきり書き、可能な限りWikipediaなどの外部でも著作権の有無が確認できるような文を書きましょう。
場合によっては訴えることも視野に
不当に権利を主張されてしまったのですから、こちらも強く出る必要があります。
日本人の美徳である遠慮や謙虚さは捨て、不当に権利を主張するならば戦う覚悟があることを主張しましょう。
自分のせっかく作った大切なコンテンツは自分で守る必要があります。
その他の対策
実は、先述の動画は1度申し立てを拒絶された後、YouTubeから消し、再度アップし直した後、再び来た著作権侵害の申し出を撤回させています。
1度申し出を拒絶されてしまうと、アカウントが健全である状態に響きますし、また再度申し立てをする際には住所などの個人情報を記入する必要が出てきます。
わけのわからない団体に自分の個人情報をさらすことはできるだけ避け、1度YouTubeから削除し、再度同じ動画をアップした後に、以下の対策をすることをおすすめします。
対策用動画の作成
オリジナルコンテンツである根拠を示すために効果的だったと思っていることは、対策用動画を作り、同時にYouTubeにアップしたことです。
私の場合には製作途中の様子がはっきりわかるものを、同時にアップし、異議申し立て欄にそのアドレスを貼りました。
著作権侵害の申し立ての撤回
上記の手段で著作権侵害の申し立てをしたところ、この『XXX』という団体はすぐに撤回してくれました。
今回は、悪意のあるものではなく機械の誤認識によって起こってしまったのであると思います。
余談になりますが、対策用動画にも『A----- (Publishing)』(-は伏字)なる団体が、楽曲の著作権を主張してきました。
バッハの作品に対しこのように著作権を主張してくるこのような団体は、かなり悪質であるのかもしれません。
(2016.9/14追記:A-----のホームページを見つけました。『A-----はあなたのコンテンツから最大限の収益を生み出します』などと書いてあるとんでもない団体のようです。著作権の仕組みをよくわからない人が見たら、だまされるようなことが書いてあり、YouTubeに報告しました。ちなみに異議申し立てをして2週間経ってもなんの返信はありません。30日以内に何かリアクションがあればまた追記します。)
A社のホームページ。 他人のコンテンツから収益を生み出すというとんでもない文面が記載されている。 |
それでも申し立てが拒否される場合
それでも著作権を主張してくる場合には以下の対策が考えられます。
動画を再アップ
とにかく動画を一旦消し、再アップしましょう。
訴えの文面を変える
アップしたら、文面を変えて異議申し立てを申請してみましょう。
数を多く打てば当たる可能性があります。
また著作権情報を確認できるリンクを必ず載せておきましょう。
YouTubeにメールを送る
何度異議を申し立ててもダメな場合には、YouTubeにメールを送ってみましょう。
著作権に関するお問い合わせ先
異議申し立て通知の要件
なお、問い合わせる際には文章は感情的に書かず、必ず自分が権利者であることを証明できるものを明記して、冷静に問い合わせましょう。
対応する人も人間です。
お互いにストレルなくスムーズに処理を済ませられるようにするためには、怒りなどの感情は抑えましょう。
おわりに
ここに書いたことはあくまでも正当なオリジナルコンテンツが、不当に著作権を主張されている場合にのみ有効です。
そもそも違法にコンテンツをアップロードするものが後を絶たないため、YouTubeも機械による自動認識システムを導入しなければならず、そのために多くの誤認が起こっています。
そして、それを悪用する業者が数多く存在しているのが現状です。
このような悪行がなくなること、そして健全な環境で創作物が評価されることが実現するよう願っています。