楽器を選ぶときに押さえておくポイント３選

　フルートほど多くのメーカーから作られている楽器は無いでしょう。
製作が比較的容易な上に、人口も多く、また高額なため、他の楽器よりも多くの会社がフルートを作って売り出しています。
しかしどのメーカーでも数種類のモデルがあり、材質や頭部管の種類、数々のオプションが揃えられています。

そのため、初心者にとっても上級者にとっても、楽器を購入するときにはたくさんのフルートを試奏しなければなりません。
もちろん楽器は高価なもので、懐事情と相談しつつ条件にあった楽器を購入することになりますが、万が一後でその楽器をうまく吹きこなせなくてもなかなか容易に買い換えられません。

今回は楽器選びで失敗しないよう、抑えておくべきポイントを３つご紹介します。

1.高価な楽器が良いとは限らない。

未だに議論の余地があるテーマの一つですが、材質は音色にほとんど（あるいは全く）影響しないということを知っておきましょう。

材質ごとに音色の特徴はあるような気がしますが、歌口の削り方とテーパー（頭部管の管の形状）、担保の材質によって音色はほぼ決まります。材質や重さ、管の厚さはほとんど関係ないことをふまえた上で楽器を探しましょう。

ただし、E-メカニズムやH管などのオプションは、価格が高くなりますがその分取り入れる価値があります。ほとんどの奏者にとってEメカニズムとH管は必須なので、これを取り入れた価格で購入を検討しましょう。

リングキーとカバードキーはどちらでも良いです。指が細くてキーを押さえられないなら迷わずカバードキーの楽器にしましょう。
あこがれや見栄でリングキーのフルートを買っても、リングにカバーをはめて演奏することは、音色面からも音程面からもデメリットしかないので手にあった楽器を購入することを強く勧めます。

いままでカバードキーのフルートを吹いていて、新しい楽器ではリングキーにしようと思う場合には、リングキーの楽器を試奏してみて馴染めそうならリングキーを選びましょう。特に左右の手の薬指のキーが無理なく塞げないと、リングキーにすることはやめた方が良いです。

リングキーにしても音色に影響することはほとんどありませんが、いくつかの変え指や、現代音楽で応用が利くので音大を目指すなら必要になりますが、趣味で楽しむ分ならまずそのような曲を吹くことはないので、手にあった楽器をお勧めします。

2.どんな楽器にも必ず長所と短所がある

低音が出やすいけれど、高音域の音色がおかしいもの。大きな音量が出るが音色の変化が乏しいもの。いくつかの音程が悪くなければ非の打ち所のないもの等々。完璧な楽器に出会うことはまずありません。ある程度の妥協が必要です。

安い粗悪なフルートならわかりませんが、有名メーカーの楽器ならある程度、長所と短所のバランスがとられて作られています。

初心者なら低音から高音まで音が出しやすい楽器、中級者なら音程と音色が整っているものを選ぶと良いでしょう。

3.自分が気に入った楽器を選ぶ

楽器選びに先生やフルート上級者について来てもらい、意見を言ってもらうことは悪い事ではありません。
特に初めてフルートを買う初心者には、誰かについてきてもらうことは必要でしょう。

しかし最終的には自分の好みで決めましょう。
先生に何本か良い楽器を選んでもらい、その中から気に入ったものを選ぶと良いです。

初心者なら見た目で選んでも良いですし、カタログに載っているオプションなどが気に入ったので選んでも良いです。何よりも大切なことは、自分がその楽器を好きになり毎日吹けるかということです。いくら先生がこの楽器が良いと言っても、自分自身が気に入らないのであれば購入をやめましょう。フルートはたくさんありますので、すぐに気にいる楽器に出会えるはずです。

せっかく先生についてきてもらったにも関わらず、楽器を買わないということに負い目を感じる必要はありません。また次の週にでも、一人でその楽器店に行って試奏させてもらいましょう。気に入った楽器に出会うまではどんなに時間がかかっても我慢することです。

注意

ここに書くことはあくまで私の個人的な見解であり、先入観や私が経験したことのみに基づいているので、万人にオススメすることではないとあらかじめ断っておきます。

楽器を買うときには大きな楽器店よりも、できれば東京にある個人のフルート専門店で購入することをおすすめします。地方のお店の事情は私はわかりません。東京の場合、個人のお店には質の高い楽器を店主が選んで置いていることがあるからです。そのようなお店では評判が最も大事ですので、平均以下の水準の楽器は出会うことはありません。