フルートを吹いた後の手入れ

フルートを吹いた後の手入れ

皆さんはフルートを吹き終わった後、どのように手入れをしていますか?

多くの方はガーゼを掃除棒に巻きつけ、管の内部の水をとり、クロスで楽器の汚れを取ってからケースにしまっていると思います。

楽器を長く良い状態に保つために、私が普段から気をつけていることをいくつか書いてみました。

ごく当たり前のことばかりですが、念のため一度確認してみましょう。


掃除棒について


往年の名手ジャンピエールランパルは自伝の中で、フルートの水分をとったガーゼと掃除棒は、フルートの内部に入れたままケースにしまっていると記していました。

彼によれば今までそれで問題が起きたことはないそうですが、衛生面からも良い方法とは言えませんし、録音のいくつかには明らかに状態の良くないタンポのペタペタとした音が入り込んでいます。

フルートを演奏後は、管の内部の水分は綺麗にとっておいた方が良いでしょう。

フルートのカバーケースには、外ポケットに掃除棒を入れるスペースが付いているものも多くあります。

濡れた掃除棒をそこに入れて置くことも、衛生面からはあまり良いとは言えません。


水分を取るためには掃除棒にガーゼなどの布を巻きつけますが、個人的に便利だと感じているのは掃除棒に巻き付けるのではなく、差し込むようにして使用できるタイプの布です。

これは布がほどけたり、いちいち掃除棒にいちいち巻きつける必要はありません。

巻き方を失敗して管内で布が解けてしまい、掃除棒が詰まる危険もありません。

デメリットとしては、ガーゼよりも高価なことと、水分の取れ具合はガーゼに劣ることです。


頭部管の反射板のふちは、水分が残りやすい部分なので念入りに取ります。

水分が残っていると、反射板のコルクの劣化を早めてしまいます。


水分を拭った布を洗濯することも忘れてはなりません。

最低でも、週一回は洗濯した方が良いと思います。


キーに残った水分


ガーゼで菅内部の水分をとった後、キーに付着した水分を取ることも忘れてはいけません。

意外と怠りがちな作業ですが、タンポに水分が残っているとカビが生えてしまうことがあります。

特に水分が溜まりやすいトリルキーやgis、esキーの金属プレートの周りはカビが生えやすいです。

タンポが黒く変色していないか、一度確認してみましょう。


水分がキーに残っているとペタペタしてうまく上がらなくなったり、タンポからピシピシと異音が出るようになります。

水分を取るときに気をつけたいのが、あぶらとり紙やクリーニングペーパーでタンポの水分をとってしまうことです。

こうするとタンポ表面の油分までとってしまい、劣化を早める原因となります。

私のおすすめは、ティッシュペーパーです。

これは、ムラマツの技術者の方に教えていただきました。

それ以来私は10年以上ティッシュペーパーを使用していますが、以前クリーニングペーパーを使用していた時に起こっていたタンポからペタペタと音がする問題が解決し、それ以来キーのトラブルは大幅に減りました。

トイレに流せるような水溶性のものではなく、また香料が含まれていないティッシュペーパーを使用しています。

湿度が高い時などは、キーパッドからペタペタと音がするときがあります。

その際は、ティッシュペーパーを少し水で湿らせ、タンポの表面に軽く当てキーを優しく何度かおろし、キーを上げてからティッシュペーパーを移動させます。

そして乾いた部分を同様にタンポに軽く当て、表面の水分を取ります。

絶対に注意したいことは、キーを押さえたまま紙を引いてしまうことです。

こうするとタンポの表面の薄皮が痛み、寿命を縮めてしまいます。


クロス


クロスの材質で個人的におすすめな物は、ポリエステルが多く含まれた布です。

こちらの方が表面の油分や汚れが綺麗に取れますし、繊維が飛び散らないのでキーの継ぎ目に入り込むこともありません。

静電気が発生しやすいので、特に冬場には注意が必要です。


管体を拭く際には、キーの継ぎ目にゴミを押し込んだり、タンポ表面を傷つけないように気をつけます。

アルコールスプレーをクロスに何吹かかけてから管体を拭くと、より綺麗になります。

アルコールは、医療用のものを用いてください。

保湿成分などが手に残ったり、香りがついているものは使用してはいけません。


ケース


フルートの演奏中にケースを開けたままにしておくと、ほこりがだんだんと溜まってゆきます。

特に冬場には静電気でほこりが溜まりやすくなっていますので、ふたを開けたままにしないよう気をつけておいた方が無難です。

楽器をケースにしまったあと、カバンに入れる場合にはケースの向きにも気をつけておくと良いかもしれません。

特にリュックサックに縦向きに入れる場合には、管体の足部間側が上になるように入れておいた方が良いです。

フルートは縦方向の力にとても弱いため、強い衝撃を与えると変形してしまう恐れがあります。

終わりに


これらは些細なことですが、楽器のコンディションを保つために意外と重要な作業です。

毎日の積み重ねが楽器の状態に大きく影響してくるので、きちんとフルートを手入れをしてあげることで良い状態を長く保つことができます。



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