フルートの指がうまく回らないときの3つの対処法+指トレ

 フルートの難しいパッセージがどうしてもうまく行かない時には、どういった練習をすれば良いのか、効果的な3つの練習方法をまとめてみました。
音階練習、リズム練習、そしてゆっくり練習する方法について簡単に説明しています。

(2021年10月追記)新たに『楽器がなくてもいつでも簡単にできる、指のトレーニング方法』 の記事を書きました。あわせてご参照ください。

音階練習


毎日、音階練習をしていれば指が回らなくて困ることはかなり減るでしょう。

たくさんの有名なフルーティスト達が、タファネル=ゴーベールの日課練習の第4番目の音階を、全調さまざまなアーティキュレーションで練習することを勧めています。

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プロを目指すため音大に入るなら、この4番目の音階は暗譜ですらすらと全調を止まらずに吹けなければなりません。

ぜひ毎日の習慣としても、この練習を取り入れることをおすすめします。

この音階以上に優れている日課練習はない、と個人的に思っているくらい素晴らしい練習です。


リズム練習



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ベルリンフィル首席、エマニュエル・パユの先生でもあったミシェル・デボストが書いた本『フルート奏法の秘訣』のなかで、デボストがイベールのフルート協奏曲を例に挙げています(下巻310ページ)。

『フルート演奏の秘訣』下巻310ページより引用

難しいパッセージはこのように、付点のリズムでゆっくりと、かつ確実にさらいます。

曲を通して吹いてばかりいては、楽しいかもしれませんがなかなか上達はしません。

リズム練習ばかりではつまらないかもしれませんが、このような練習をどれだけ丁寧にやったか本番の演奏で結果がはっきりと出ます。

ぜひ、難しいパッセージを磨きこんで質の高い演奏をすることができれば、さらにフルートが楽しくなります。

ゆっくり練習


先述のリズム練習に通じるところがあるのですが、ここで目指すのは手や腕から無駄に入っている力を徹底的に抜く練習です。

鬼才ピアニスト、グレン・グールドは練習する際、片手の指を鍵盤にあて、もう片方の手の指で鍵盤に当てている指を上から押して練習するくらい徹底して腕を脱力することをめざしていました。

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難しいパッセージが来ると、どうしても無意識に緊張してしまいます。

そして反射的に腕や手に不必要な力が入ってしまい、指が動きづらくなって吹けなくなってしまうのです。

指が回らず難しいパッセージが吹けない大部分の理由は、指が動かないことよりも、何の音を吹けば良いのかを正しく理解していなかったり、余計な緊張をしてしまうことにあることを知っておきましょう。

毎回、難しいパッセージが来るたびに脱力の練習をしていては効率があまり良くありません。

普段の練習では、腕や手から不要な力を抜く事を意識をしましょう。

脱力を練習するためのおすすめな教則本は、モイーズ著『アンブシューア、イントネーション、ヴィブラートの練習』です。

ライヒャートの日課練習を元に、モイーズがリズム練習ように改変したものは、腕の力を抜く練習に最適です。

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『アンブシューア、イントネーション、ヴィブラートの練習』28、35ページより引用

まとめ


以上、フルートの指がうまく回らない時に役立つ3つの練習法をご紹介しました。

残念ながらデボストの『フルート演奏の秘訣』(音楽之友社)は現在なかなか手に入れるのが難しい本になっております。

音階練習を様々なリズムやアーティキュレーションで紹介している記事を書きましたので、以下のリンクからご参照ください。

音階練習、タファネル=ゴーベール第4番をモデルに、リズムやアーティキュレーションの変化


ライヒャートの日課練習の楽譜は、著作権の切れた曲をあつかっているペトルッチ国際ライブラリー(IMSLP)にあります。

次の記事にリンクがありますので、もしお持ちでない方はそこからダウンロードできます。

ライヒャート:7つの日課練習op.5

この練習曲に様々なリズムをつけて練習すればかなり効果的ですので、おすすめです。



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