拍子と指揮について

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指揮者



 一般的に、無邪気な音楽愛好家にとっては、拍子を取ることと指揮をすることに違いはない。それどころか、音楽に熱中している愛好家すら、拍子や指揮をする際の動きは音楽家の演奏に従い、これらは演奏の際には基本的に不必要なものであると思っている。当然のことながら演奏もするアマチュア音楽家は、このことに関して異なる意見を持っている。しかし頻繁に起こる、音楽の素人や若い修行中の音楽家がオーケストラでチャンスを与えられたときに、指揮の型を知らず、指揮の動きが不明である場合にこの章は役立つ。

指揮者の役割



拍子を取るという事は完全に指揮者の機械的、技術的な部分であり、充分な拍子感を持っていることで実行できる。本当の意味での指揮者とは、それ以外の必要な自然な才能と、楽曲に対する研究に必要な本当の広範囲の専門的知識が備わっている物のみである。”拍子打ち”は演奏家たちに曲の時間の配分をただ示しているだけである。逆に円熟した指揮者はスコアを仲介し、自身の芸術的な理解に基づいて作曲家の意図をオーケストラに伝える。多くの指揮の際に何が必要か学ぶ者は全て、おそらくさらに多くの学部でのアカデミックな教育を受けるが、しかしながら指揮者にはならない。もし大切ものが指揮棒であるという認識であれば、ただ”拍子打ち”と言われることにとどまる。


主動作と補助動作



拍子の指示の際して、2つの動きが分類される。
主動作(Hauptbewegungen)と補助動作(Nebenbewegungen)である。

主動作

どの主動作も一定のリズムでなければならず、またそれ自身で完全な拍子の区切りを表現する。特に緩やかなテンポの時には、指揮の型の終点を示すことを突然行ってはならない。

補助動作

補助動作は演奏者に次のテンポを教えたり、弓を当てがったり、ブレスをあたえることなどを意図する。速い、あるいは遅く演奏されるテンポに従い、演奏される初めの拍の前に現れ、前腕もしくは手首の関節を短く曲げる。またアウフタクトの拍の前でも現れる。
また、フェルマータを切る際(Abschlagen『※訳注「切り離す」の意』とも呼ばれる)にも補助動作がみられる。



主動作は以下のように矢印で示され、補助動作は点で示される。このフェルマータ記号Fermata.svgは動作の初めの手の位置を意味する。







 初めの四分音符は上から下に向かい打たれる。3/4拍子では、第2拍は右へ向かって打たれるが、4/4拍子の場合には左へ向かって打たれる。これらは規定された土台として行われる。

曲の始まりにアウフタクトがある場合に、指揮者は落ちる動作から始める。またアウフタクトの前に休符がある場合には、該当する拍を定め補助動作は省略される。


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