【管楽器】もっと速くなるタンギングの練習方法

 タンギングがもっと早くできるコツや練習法です。タンギングが遅い、舌の位置によっては唇が動く、低音が出づらい、唾がたまってしまうといった症状が起きるので、より速く簡単に、また綺麗に発音できるやり方を説明します。



シングルタンギングとダブルタンギング


 管楽器奏者にとって、タンギングを素早く、かつ美しくできるということは理想でしょう。

シングルタンギングとは、いわば役者やアナウンサーの発音のようなもので、はっきり明瞭にできなければなりません。

しかし、速いフレーズやパッセージで常にダブルタンギングばかり使っていると、シングルタンギングが極端に遅かったり、あるいは上手くできないということが起こってしまいます。

ダブルタンギングはとても便利で有用な技術であり、管楽器奏者には必須のテクニックですが、ダブルタンギングばかり使ってシングルタンギングをおろそかにしていると、特にバロックや古典派の作品を演奏する時に、表現の幅が狭くなってしまう恐れがあります。

私がダビデ・フォルミザーの先生のマスタークラスを受講した時に、先生はモーツァルトのニ長調の協奏曲やイベールのフルート協奏曲をシングルタンギングで吹かれていると伺いました。

フォルミザーノ先生のシングルタンギングで紡ぎ出される本当に美しい音に圧倒され、とても感銘を受けました。

そして、どうやったら美しく、かつ素早くシングルタンギングができるようになるか、練習方法について、一流の演奏家はどのように練習しているのかを調べ、自分でも試してみました。

その結果、自信を持ってお勧めできる練習方法に出会ったのでここでご紹介します。

タンギングの練習方法


シングルタンギングが美しく、もっと速くできるようになる何か良い練習方法はないだろうかと模索していたある日、元ベルリンフィルハーモニー首席奏者のアンドレアス・ブラウ先生がマスタークラスで、シングルタンギングの練習方法についてレクチャーしてくださいました。

カラヤン時代からベルリンフィルの首席を務めてきた、ブラウ先生のタンギング練習方法はとてもシンプルなものですが、いざやってみるととてもキツいものでした。



この練習方法を粘り強く毎日すれば、タンギングに関して不自由しなくなります。

やり方


まず、メトロノームを126~132あたりにセットし、四分音符から十六分音符まで、短くよく切って、かつ美しくはっきりとした発音で、半音階で下って行き最低音Cまで練習していきます。

126が早すぎる方には、100くらいから始めだんだんとテンポを上げて行くと良いかと思います。

最低音まで行ったらまた半音階で上行し、3オクターブのHまで行ったらまた下降してもとのHまで戻ります。

全部で十五分くらいかかります。


私はこの練習をやり始めた当初はなかなかうまくゆかず、心が折れそうになったこともありましたが、それでもめげないで毎日やったおかげで今ではテンポ144近くまでできるようになりました。

タンギングの練習の際に意識するポイント


・常に美しいアタックを目指すこと
・はっきりとした発音をすること
・ペッペッと唇の間から舌を出さないようにすること
・タッタっと発音するのではなく、ダッダッ、またはルッルッのような、舌が唇につかないよう、前歯の後ろから口蓋に舌を当てて発音すること

です。

タンギングの発音


タンギングの発音は日本語の『タ(Ta)』ではなく、『トゥ(Tu)』『ダ(Da)』や『ル(Lu)』に近い発音を目指しましょう。


『タ(Ta)』と『トゥ(Tu)』の発音の違い


『タ』と発音すると硬すぎる響きとなり、美しくありませんし、素早く発音することも難しいでしょう。

『タ(Ta)』と『トゥ(Tu)』の発音の違いですが、母音が異なることで口のなかの形も変わります。

『トゥ』と発音したときのほうが、口の中により広い空間ができ発音が柔らかくなります。


『ぺ(P)』と発音する方法


また、唇の間に舌先を出し、『ぺ(P)』と発音する方法もありますが、古いスタイルであり今日では使われることは稀でしょう。

『ぺ』と発音することは比較的容易な方法ですが、広いところで演奏する場合にほとんど効果がないので、音量の小さい音の出だしでごく稀に利用することに留めておいた法が良いです。


我々日本人にはなかなか難しく、コツをつかむまで時間がかかるかもしれませんが、諦めずに練習しましょう。


ぜひ上掲のシングルタンギングの練習を、さまざまな発音で毎日やってみてください。

必ずより速く、かつ美しいタンギングができるようになります。

参考:


参考までに、フォルミザーノ先生の美しいシングルタンギングの演奏も聴いてみてください。

先生は日本でもよく演奏会をされていますので、足を運んでみるのも良いでしょう。

最近発売された素晴らしいCDでも、美しいタンギングを存分に堪能できます。




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