モイーズの練習曲の紹介『24の旋律的小練習曲と変奏』

モイーズ『フルートのための24の旋律的小練習曲と変奏(初級)』





とんでもない誤訳


リュデュック社のフルートの楽譜には、フランス語の他に英語、ドイツ語、そしてなぜか日本が書かれている楽譜が多いのですが、モイーズの『フルートのための24の旋律的小練習曲と変奏(初級)』という教本があります。







モイーズのこの練習曲に、実はとんでもない誤訳が混じっています。
一見すると初心者向けの教本かと思うくらい単純な内容とタイトルですが、この『変奏(初級)』という訳が大誤訳で、この曲を本当に学ばなければならない音大生くらいのレベルの人を遠ざけてしまっているような気がします。
原題は『Vingt Quatre Petites Études Mélodiques  avec Variations(Facile)』で英訳ではVariations(Facile)はVariations(Easy)、要するに単純な変奏とか簡単な変奏という意味で、正しく訳せば初級(ビギナー)とはならないはずです。

モイーズは、自分の音楽院の生徒達があまりにも単純なことをできないのでこの曲集を書いたそうです。
1曲目は、モイーズが家族と旅行へ行き、ふと車を止めた時に家族が眠っているところを見てこのメロディーを書き付けたそうです。
そして、この曲を吹く時にはお母さんが子供に子守唄を歌っているように吹きなさいと述べています。

フレージングの作り方、旋律の歌い方、音程の取り方、アーティキュレーションやタンギングの勉強にもってこいの大変素晴らしい曲集ですので、この誤訳が早く訂正されることを願います。






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