フルート練習法10選


 普段の練習から意識していれば、もっと上達するコツをまとめてみました。
いくつかのポイントに集中してフルートを練習することで、より良い成果を得ることができるます。

今回は、10のポイントに注目してみます。



フルートの音色


フルートの音色は、その人の外見や顔つきのようなものです。

フルートの演奏を聴いた時、はじめて思うことの大部分はその人がどのような音色を持っているかということでしょう。

美しい音色の人もいれば、個性的な音色の人、大きな音色や汚い音色、乱暴な音色など、人によってフルートの音色は異なります。

練習する時、常に良い音色で練習するよう意識をしていれば、本番で緊張したりあまり集中できなかったとしても一定の結果を残すことができます。

常日頃から、もっと良い音色を出すことができないか常に意識していれば、必ず本番で良い結果を得られるでしょう。

フルートの音程


フルートという楽器は、正確に音程を取るのが難しい楽器です。

特にオーケストラなどでフルート2本が同時に演奏している時に音程がずれていると、音が不自然に震えていることがはっきりと聴こえるでしょう。

これを差音といい、モーツァルトもこのフルート独特の震えを嫌ったため、彼のオーケストラ作品はフルート1本で書かれていることが多いです。

当時の楽器は今ほど音程が良くなかったため、音程のずれによる差音はかなりはっきり聞こえたのでしょう。

このようなことが起こらないよう、普段からチューナーをできるだけ用い、また可能であればピアノで和音などを弾いた上でフルートを吹いてみましょう。

普段から耳を正しい音程に慣らしておくことが肝心です。

また、理論を知っておくことも大切です。

3和音の長3度の音程は低めに取る、短3度の場合には高めに取る等々、音程の取り方には様々な規則がありとても奥が深いのです。


これらのことをおざなりに練習していて、ずれたままの音程に耳が慣れてしまうと、いざ他の楽器と一緒に演奏した時に音程が合わずにびっくりすることがあるでしょう。

このような問題が起きないよう、音楽に集中できるようにするには日頃の積み重ねが肝心です。

フルートの音量


一般的にフルートは他の楽器よりも音量が小さく、かき消されてしまうことがよくあります。

オーケストラや吹奏楽でいきなり演奏すると、フルートが聴こえずに慌てることがあります。

普段からどうやったらもっと大きな音量で、豊かなスケールで音楽を表現できるか練習しておきましょう。

しかし、大きな音量を出すためには力一杯吹いたり、息をたくさん吐き出すやり方では、ホールの隅々まで響く朗々とした音色は得られません。

逆に身体をリラックスさせ重心を下げ、身体を鳴らすようなイメージでしょうか。

大きな音を出すためにもコツがあるので、普段から楽器のみならず身体までよく鳴るような方法を見つけられるような練習をしましょう。

逆にフルートにとって難しいことは、小さな音色をいかに美しく出すかでしょう。

小さい音は出ても、客席の隅々まで聴こえ、かつうるさくない音色を出すことはとても難しいです。

音量は小さくても、ぼやけていたりカスカスした音色だったりということがあるでしょう。

高音域から低音域まで、ピアニッシモからフォルテッシモまで出せるよう、音量の練習をすることも実は大事な練習なのです。

おすすめ楽譜:

オーボエの巨匠、ギュンター・パッシンによる教則本です。

オーボエのための教本ですが、フルートでも全く問題なく演奏できます。音量練習のための素晴らしい譜例が載っています。




フルートを構える姿勢


普段からできれば立って練習していれば、本番で長時間立つことがあっても疲れずに演奏に集中できます。

また、立っていた方がお腹の深くまで息を吸い込みやすいので、ブレスに関する問題があるときは立って練習してみると良いかもしれません。

逆にオーケストラで演奏しなければならない時には、座って練習しましょう。

ゴールウェイは著作「フルートを語る」の中で、ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』の出だしについて書いています。

この冒頭のフルートのソロは、立って演奏することは座って演奏するよりもはるかに容易ですが、オーケストラでは座って演奏しなければなりません。

ゴールウェイはこのような場合、普段も座って演奏するよう勧めています。

「牧神の午後」のソロは座って吹きます。ですから、もしダンス・バンドの中で吹くのでもなければ、座って練習しましょう。(前掲書,151ページ)

身体はできるだけ動かさない


演奏会やコンクールなどで普通に目にする光景の一つが、演奏者が激しく動きながら演奏している姿でしょう。

クラシックのフルートはロックバンドのように身体を激しく動かす表現「パフォーマンス」とは違います。

音色のため、ブレスのため、楽器コントロールのため、身体はできるだけ動かさないようにします。

かといってカチカチに緊張して固まってはいけません。

リラックスして最小限の動きにとどめましょう。

オーケストラで身体を動かして演奏すると、聴衆にとっても共演者にとっても目障りな存在となってしまうので注意が必要です。

フルートのブレス


普段からブレスを意識することで、本番で緊張して息が足りなくなったり、喉が閉まって息を吸うたびに変な音を立てなくて済みます。

リラックスして肩の力を抜き、お腹の底や背中までゆっくりと息を吸う訓練をしましょう。

ブレスも練習することでより素早く静かに吸えるようになるでしょう。

また、身体を不自然に緊張させていたり、身体を動かし過ぎると喉が閉まってしまい、息が浅くなってしまうだけでなく息を吸い込むたびにハーハーと気になる音がしてしまいます。

ブレスをとる場所にも注意が必要です。

フレーズが不自然に途切れないか、ブレスを吸う時間が短すぎたり長すぎたりして不自然な音楽になっていないか等々、注意深くブレスをとる場所を決める必要があります。

ブレス記号は、楽譜の音符の間に "V" マークや "+" マークを書き込みます。

フランスの作曲家の作品を演奏する時に時々、カンマ " , " が書かれていますが、フレーズの切れ目なのかブレス記号なのか作曲家の意図をはっきり推測する必要があり、カンマが書かれているからといって必ずしもブレスをとらなければならないことに注意が必要です。

楽器の組み立て方


フルートの頭部管と本体をいつも同じ位置にセットできるよう、楽器に印をつけましょう。

ドライバーやシャープペンシルの先っぽで、楽器に目印になる傷をつけておくのが簡単ですが、抵抗がある方はマニュキアなど簡単には剥がれない物で印をつけておくと良いです。

もし楽器にもともと印が付いていてもあまりあてにせず、自分にあった位置を見つけましょう。

このことが原因で良い音が出なかったり、低音や高音が出づらいということがよくありますので注意しましょう。

参考:フルートの頭部管の角度と抜き具合について

音が滑らかにつながっているか


自分ではできているつもりでも、録音をしてみると音と音の間に余計な音が入っていることがあります。

特に中音域ドとレの間や、ミと♯ファの間に起こりがちです。

意識してゆっくり丁寧にさらうことで、耳が鍛えられ指もだんだんと改善されるので気長に頑張りましょう。

指を正確に素早く、かつ指を高く上げすぎて乱暴にキーをたたかないよう気をつけながら音階をゆっくり練習することで改善します。

テンポ


どんな曲でもメトロノームを必ず使ってみましょう。

自分流に勝手にテンポをとっていたり、テンポが遅すぎたり早すぎたり、難しい箇所で転んでいたり走っていたり等々、問題が見つかります。

また、普段から速く吹きすぎないためにも、リズムをしっかり正確に取ることが大事です。

楽器を持たないで、ソルフェージュのトレーニングをすることも大切です。

参考:練習時間が足りない人に役立つ3つのフルート練習法

暗譜


以前、五嶋みどりさんがホームページに、暗譜は最終地点ではなく暗譜してからが練習の始まりだと書かれていました。

エチュードでも現代曲でも、できる限りどんな曲も暗譜するよう心がけましょう。

ピアニストやバイオリニストは膨大な曲を暗譜しなければなりません。

そして暗譜は鍛えれば鍛えるほど、すぐにできるようになります。

ハイドンは、部屋のろうそくを消し真暗なところで練習してみると良いと書いています。

いつも楽譜にかじりつくのではなく、楽譜を見ないでも練習してみましょう。

暗譜で演奏してみると、楽譜を見ている時には気がつかなかったことが聴こえてきます。

 

ピアノ伴奏を知る


ピアノを弾くことができれば、自分のさらっている曲の伴奏を弾いてみましょう。

ピアノをちゃんと弾けなくても、フルートが演奏しているところでピアノは何をしているのか知るだけでも、曲に対する理解や発想がかなり深まります。

速く弾く必要はなく、ゆっくりで良いので弾いてみましょう。

また、フルートを練習している時にも伴奏譜を見て練習してみるのも良い方法です。

自分のパートが何をやっておりどういう意味なのか、スコアを見ないとほとんど理解することは不可能です。

終わりに


普段から練習方法を少し工夫するだけで、長い年月でみると相当成長できるはずです。
ぜひ日々の練習を見直して、より良い練習方法を見つけましょう。

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