リップクリームにご注意を。

リップクリームとフルート

　今冬はとても寒く、私の住んでいる地域でもかなりの降雪がありました。
そのような気候の時に外をあるくと、唇がとても乾燥します。
私は普段からリップクリームは塗らないのですが、さすがに乾燥しすぎて唇の皮がささくれだってしまったので１週間ほどリップクリームを塗っていました。

異変

異変を感じだしたのは、リップクリームを使用して１週間ほど経ったころでした。
ある日フルートを吹き始めたら、なぜか低音が出ない。
フルートを吹き始めた初心者だった頃のように、低音のソから下の音が出しづらくて演奏に支障をきたしてしまいました。

私はフルートを吹くことを仕事にしているので、このままでは大変です。
原因を探ってみました。

検証１：楽器の調整

最近、木の頭部管を購入してテストしているのですが、寒さのせいで割れてしまったのかと思い、色々検査したり調整してみたのですが変わらず。

木製のフルート頭部管とリップクリーム

金属の頭部管に戻して吹いても、ほとんど音が出ません。
フルート本体のキーがちゃんと塞がっていないかとも思い、隅々まで調べましたが調整は狂っていませんでした。
他のフルートでも吹いてみましたが、やはり同じ症状です。

楽器の調整に原因があるわけでなく、私自身の問題のようです。

検証２：アンブシュア

私は普段、特に音出しをしなくてもフルートを吹けます。
しかし音が出なくなってしまった以上、初心にかえって音出しをしてみる必要があると思いました。

音出しに関して私自身が特に有効だと思っている練習は、ハーモニクスやホイッスルトーン、フラッタータンギング、そして声を出しながらフルートを吹いてみることです。

詳細は省きますが練習方法に関してはこのブログ内の記事や、ペータールーカスグラーフ著『フルートテクニックの総点検―フルーティストのための20の基礎練習』に書いてありますので、よろしければご参考に。


丁寧に音出しをしてみましたが一向に改善せず。

これはおそらく身体的な原因があるようです。

検証３：身体の検査

実はこのようなことを以前にも何度も経験しているので、なんとなく原因がわかってきました。
今までの経験上、楽器やアンブシュアの問題ではないと判ったら大抵は次のどちらかの問題です。

１、耳の問題

私は学生時代、とても暇だったのでとにかく練習をしていました。
当時は毎日１０時間練習するという目標のもと、毎日ひたすらフルートを吹いていました。
今ではそんな体力も無くまた無駄で効率の悪い練習でしたが、その長時間練習するという経験を通して得られたことは今でも役に立つ時があります。

7、８時間もフルートを吹いていると、だんだん耳が聴こえなくなってきます。
本来ならそこでもう吹くのを止めるべきでしょうが、情熱と体力のあった当時は無謀な練習を続けていました。

耳が疲れてくると、フルートの音が違って聴こえてきます。
かすれたような音に聴こえるためより力任せに吹いてしまいがちです。
しかしある時、耳が疲れ始めて音が違って聴こえている状態で録音してみたところ、普段と変わらず音が出ていたのでそれからは力まないよう気をつけるようになりました。

最近はそのように長時間フルートを吹くことがほとんど無いので、おそらく耳が原因ではなさそうです。


また、私の場合にはイヤフォンで音楽を聞いていると耳が疲れるので、できるだけ使用しないようにしています。
しかし、ここ数日は長距離の移動が多かったためイヤフォンを使用したので、これが原因でフルートの音が聴こえないのかとも思いました。

しかし、他の音は変わりなく聴こえますし、耳鳴りがするわけでもないので、おそらく唇に原因があると考えました。

２、唇の状態

以前にもリップクリームを塗ると、なんとなく音が出づらいと感じたことがありました。
しかしその時は、今回のように長期間に渡って塗っていたわけではありませんでした。

今回は１週間ほどの期間、毎日３回程度塗っていましたが、よくよく唇を観察してみると普段より確実にかなり柔らかくなっています。
そして腫れているというよりは、膨らんでいると表現した方が良い状態です。

おそらく私の使用したリップクリームに含まれている成分は保湿だけでなく、唇を膨らませる、もしくは柔らかくする作用があるようです。
ちなみに使用したリップクリームは薬用で、香りやメントールの刺激は含まれていないものでした。


そのほか考えられる原因として、木製の頭部管に使用しているアーモンドオイルとリップクリームが化学反応を起こしていた、もしくはアーモンドオイル自体に問題があると考えられます。
とりあえずはリップクリームの使用をやめ、しばらく経過を観察してみようと思います。