サン=サーンス作曲『鳥かご』動物の謝肉祭より。オーケストラスタディー



サン=サーンス作曲「動物の謝肉祭」より第10曲目の「鳥かご」は、オーケストラのオーディションに頻繁に出題されます。

この曲では、ダブルタンギングと指の正確性が要求されます。

また低音から高音への素早い跳躍も要求されます。

音楽性も忘れてはならず、鳥がさえずるように軽やかに吹かなければなりません。

軽やかな表現をするためには、フルートの高度なテクニックが必要になります。

この記事では、作曲された背景や練習のポイント、参考音源を掲載しています。


参考音源と伴奏音源

作曲背景



初演は1886年3月9日オーストリアのクルディムで非公開の音楽会。フルートはタファネルがつとめました。

オッフェンバッハやベルリオーズ、メンデルスゾーン、ロッシーニなどの楽曲のパロディーや、風刺的な内容のため、サン=サーンス自身は生前にこの曲の演奏を禁止しました。

公開初演はサン=サーンスの死後の1922年2月25日、ガブリエル・ピエルネ指揮、コンセール・コロンヌ管弦楽団。室内楽編成の原曲をオーケストラ版に編曲して演奏されました。

ポイント 1 指遣い



標準の指遣いで演奏することにこだわる奏者もいますが、私は替え指を使うことを勧めます。
オーケストラのオーディションや本番に、常にベストコンディションで望む事が理想です。
しかしどんなコンディションでも崩壊しないで吹ききるためには、できるだけ常に安定して演奏できるよう工夫する必要があります。

冒頭のD-Eの指遣い

私はミの指使いでは、以下の指使いをお勧めします。

H12  / R  es

左手:親指、人差し指、中指
右トリルキー、小指Esキー

もちろん標準の指使いでも構いませんが、この指使いは特にダブルタンギングの発音が良いので、参考までに掲載しておきます。


E-Fの指遣い

この音形は特にテンポが速くなるとかなり難しいので、トリルの指使いをお勧めします。

ちなみにEメカニズムが付いていないとうまく機能しないかもしれないので、楽器によっては使えません。

ファの指使い

H12 / 2 3  es

左手:親指、人差し指、中指
右手:人差し指、中指、小指Esキー


C-Dの指遣い


第22小節目のド、レの音形も難しいので、私はレの音では左トリルキーを使用しています。

速いテンポではほぼ音質に問題なく演奏できると思います。



ポイント2 ダブルタンギング



テンポ80程度で安定して演奏するためには、88-92程度でダブルタンギングを出来るようにする必要があります。
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また、タファネルゴーベールの4番をすべてダブルタンギングで吹いてみることも有効です。
10分程度で全調を演奏できます。
はじめはゆっくりと良い音でダブルタンギングをし、次第にテンポをあげてゆきます。

ポイント3 滑らかさ


音の間に無駄な音が入らないように練習します。

ゆっくりとレガートで鳥かごを吹いてみましょう。

ゆっくり吹いたときにミスしてしまう箇所は、テンポを早くすると吹けない箇所になります。

どの指がうまくコントロール出来ていないのかを意識し、集中して丁寧にさらいます。

一通りなめらかに吹けたら今度はゆっくりとダブルタンギングで吹いてみます。
これは舌と指を同期してコントロールするために有効な練習です。

参考楽譜

その他


版によっては冒頭の音にスラーがかけられていますが、サン=サーンスの自筆譜にはスラーがついていません。




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