室内楽におけるフルート




フェルステナウは『26の練習曲(Breitkopf&Härtel出版)Op.107』の序文で、フルートは性格的な楽器、すなわちその単純さは人間の精神の純真な響きを反映すると述べています。彼はフルートを、何世紀にもわたる変化の中でわずかに変化し原型を保ってきた、音楽の主要な楽器と呼んでいます。


フェルステナウは、この楽器が時々、誤解され表面的に扱われることに違和感を覚えました。その理由はフルートが学習者を、完成した技術に到達したと簡単に思い込ませてしまいますが、絶え間ない努力と才能によってのみ音楽の本質や、高度な自然さ、深さを極めることができるからでしょう。これは現在も変わりません。ほんの僅かな者だけが才能を咲かせます。アマチュア愛好家は非常に簡単なことを好み、短い修練の後で言います。「これ以上は私には必要ない。わたしはもうできる!」
しかしまた、本当に野心的な才能のある者は有能な教師に出会える機会が無いことが多く、しばしば長期にわたる研究に必要な費用を支払うことができません。


管楽器の室内楽の不足


残念なことに、すべての点で彼らに課せられた要求を満たし、思慮深く楽器を隅々まで習得し、その多様な利点を活用する方法を知っているフルート奏者(管楽器奏者)はごくわずかです。 したがって、室内楽のための良い管楽アンサンブルをまとめることは、同じ目的のために良い弦楽四重奏を見つけることよりもはるかに困難でしょう。管楽器の良質な室内楽曲の欠如は、この音楽に対する聴衆の理解が不十分であったり、コンサート自体が少ないこと、および入手可能な作品が弦楽器よりもはるかに少ないことも関係しています。 誰が曲を創り、誰が演奏されることの無い作品を公開するでしょうか?
だから今まさに、物事を変えてより良いものになるように働きかけ、支える時です。 管楽器の室内楽を演奏会はすでにいくつかありますが、それを把握しようという善意がなければならなりません。

フルート自体は、現在広く普及している室内楽の中で、他のどの管楽器よりも多く使用されています。 この30年間、効果的な作曲と優れた編曲によってかなり豊かになったフルート作品の他に、楽友協会はフルートが重要な役割を果たすあらゆる種類の編曲を数多く提供しています。 例えば、フルートはBreitkopf&Härtelのピアノ、ハルモニウム、弦楽四重奏、その他の楽器のための室内楽(交響曲、序曲、スイート、ダンスなど)には欠かせない存在です。 


オルガン


純粋な管楽器は、フルートと同じくらい人間の声に近い音色を持っています。 また、オルガンを伴奏とするソロ楽器としても、フルートは(硬いオルガンの音色に比べて)純粋で温かみのある音色を持っています。 オルガンと一緒に演奏する場合、伴奏中はフルートの音色と同じような音域が使われていることに注意が必要です。 レジスターは以下のようなものが理想的です。



  1. III. Man
Ged. 8’            Ped. Ged. 16’
Flöte 8’            --- Ged. 8’
Gemshorn 8’   Ped. Koppel III


      b) II. Man.
Konzertflöte
Ped. Ged. 16 u. 8
Ped. Koppel II


      c) III. Man.
Ged. 8’
Ped. Ged. 16’
Ped. Koppel III


      d) II.Man.
Tohrflöte 8’
Ped. Ged. 16’ u 8’
Ped. Koppel II




音楽愛好家が何が楽器を学ぼうと決めたとき、常にフルートを選ぶ事を検討するべきです。 フルートは汎用性の高さ、使い勝手の良さ、収納のしやすさ、胸を張って演奏することによる健康効果、胸の弱い人には強化のために医師に勧められていることなど、その選択を決める要素は非常に多く、この楽器を伴侶にすることも多いのではないでしょうか。

ピアニスト



ピアニストと一緒に演奏する場合、フルート奏者は、主に伴奏者のリズム感の欠如、音色の硬さや鋭いタッチなどの大きな不都合を経験することが多い。 ピアニストの間違いを理解させるのは非常に難しいことが多いです。 若くてまだ教育を受けている人を相手にしているのであれば、十分な努力をすれば修正できることもあるかもしれませんが、年配のピアニストはたいてい非常にしつこく、自分の意見を押し退けることができません。 通常、オーケストラの演奏を知らない人たちの中には、虚栄心と自己中心的な気持ちが最も多く見られるが、彼らもまた、伴奏の最も崇高な条件である「追従する」という条件を満たすことが最も難しいと感じています。 もちろん、追従することにも欠点があります。上手くやろうとすると、完全に見捨てられたと感じてしまうほど細く、尖った、傾いた演奏をする伴奏者がいます。 このような伴奏者は左手よりも右手の方が強く伴奏をすることが多く、低音はほとんど聞こえず、欲望どおりに演奏する事を考えています。一方で、ソリストとの演奏する方法を知っている伴奏者が、ペダルを使ってピアノの音を鳴らし、背景を作りながらも、フルートの2つの低いオクターブが3番目のオクターブよりも弱く聞こえることを考慮してくれるのは、何と気持ちの良いことでしょうか。 フルートの第3オクターブはどんなピアノにもかき消されることはありません!


ハープ


ハープの伴奏によるフルートの演奏が聴きどころです。 フルートとハープのための曲はMusikalienverlagからは数曲しかありませんが、ポリフォニックでなかったり、トリッキーな声部を持っていない場合は、ピアノのパートからハープを伴奏させることができます。連続和音で書かれている場合は、ハープを伴奏させることもできます。 例えば、以下のようなものが適している。 

"Romanze" Jadassohn作曲
"Serenade" Sitt作曲
"Melodie von Schubert " Tonperlen, Merseburger編曲
"Russischer Karneval" Benedig von Ciardi作曲
"Scherzo=Capriccio" Popp作曲

(付録フルート文献参照)


フルートアンサンブル



3本のフルート(トリオ)や4本のフルート(四重奏)のための小品は、低音をアルトフルート用に書き換えるとより効果的です。 アルトフルートは、この点で作曲家が使用することができました。



室内楽の演奏会場



室内楽の上演については、ここでは触れられていないこともあるかもしれません。 注意すべき小さな状況がたくさんあるので、成功を促すことができますが、省略されていたり、知られていなかったりすることが多いのです。 何よりも、会場の正しい選び方が非常に重要です。 通常、ピアノやグランドピアノが置かれているサロンには、絨毯や椅子張り、カーテンなどが多く、音響に大きな影響を与え、音を吸収してしまいます。 聴衆が同じ部屋に座っていると、良い音楽の演奏が著しく損なわれます。 また、音楽室にはあらゆるものや小さな装飾品が飾られてはいけません。 小物や写真立てはピアノの近くには置かないようにしましょう。カチャカチャ音を立てる共振は常に耳障りで、演奏者にも影響を与えます。 ランプも、ピアノや小さくて揺れるテーブルの上に置かれると、耳障りになることが多い備品です。 しかし、光の多さは、楽譜を読むときに必要な要素です。

前述の音を吸収する素材や雑音のある部屋はフルートにとっては、純粋に部屋の音響に依存するという単純な理由から特に不都合です。 バイオリン、チェロやピアノは、それらを鳴らすのに役立つ独自の共鳴体を持っていますが、フルートは多かれ少なかれ部屋の中でこれらの利点を見つける必要があります。 例えば、弦楽器の場合は弓の音、管楽器の場合は鍵盤のメカニズムの音、呼吸音などは邪魔になります。

これまで言われてきたことから、十分に広い部屋がない場合には、隣の部屋で演奏者が自分の居場所を見つけることが、聴衆や演奏者にとって最善の方法であると考えられます。 そこは小さくてもよいが、音響を乱すすべての物体から解放されていなければならなりません。 そこからは音楽が良く聴こえ、あらゆる表現があります。

ピアノの調律


ピアノの調律も室内楽では重要なところです。 管楽器で音楽を演奏したい場合は、チューナーが正常な音程を保つようにしなければなりません(A=435)。 ピアノは弾いても弾かなくても、少なくとも半年に一度は調律をしなければなりません。

演奏家の報酬


良い室内楽を演奏し、演奏会に参加するプロの音楽家を呼びたい人は誰でも、一つは他のすべての人のように、この音楽家は自身の職業で生計を立てているので、報酬についても考える必要があります。彼らは労力と時間を費やし、サロンに相応しい良い音で演奏される必要がありますし、その他にも必要なコストがあります。 真面目な音楽家は豪華な食堂がなくても喜んでやってくれますが、きちんとした支払いをすることで信用感が強くなります。 他方でこのように支払わなければならない場合にも、直ちに使用料の要求をしない音楽家は、誤った羞恥心と謙虚さを持っていると考えるべきです。 尊敬されている家庭や社会で演奏したという名誉だけでは、有能な音楽家の役には立ちません。 特に音楽関係では、お金をもらってから腕をふるって演奏する人が非常に多いです。 何のコストもかからないものは、彼らには意味も価値もないように見えます。 この点で音楽愛好団体は、大部分がプロの音楽家(管楽器奏者)を呼ばなければならないような大規模な演奏会では適切に支払いの問題に注意を払えば、多くの成功を納めるでしょう。
音楽家ほど慈善目的のために頻繁に使用される職業はないでしょうから、そのような他の場合には音楽家の慈善意思に感謝することができます。












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