フルーティストのステージでのマナーについて気をつけたほうが良いこと、知っておくこと
いくら良い演奏をしても、ステージマナーが悪ければその演奏家の評価や印象は良くなりません。
今回の記事では、フルート奏者が守ったほうが良いステージマナーについて書いてみます。
1. 舞台に入場する時の注意
お客さんにとって演奏会が始まるのは、曲の演奏が始まった時ではなく、舞台の扉が開いて演奏者が舞台に現れた瞬間です。
演奏会が始まって演奏者が舞台に入場するとき、これから演奏する曲のことで頭がいっぱいだったり、緊張して客席に気を配る余裕がなくなっていることが往々にしてあります。
緊張でこわばった面持ちで譜面台の前に鼻息荒く突進すると、客席を緊張させてしまいます。
しかし、笑顔で客席を見ながら入ってくる演奏者のほうがはるかに印象が良いですし、お客さんも演奏を聴きたいという気持ちにもなります。
オーケストラのオーディションを受ける時の心得の記事に関連しますが、審査員をすると入場の瞬間をいかに大切にしなければならないかを痛感します。
扉が開いて演奏者が舞台に現れたときに、上手いかどうかがほぼ判ります。
心に余裕がない演奏者は客席を見ることなく譜面台に突進してゆきますし、余裕がある演奏者はステージマナーに気を配っており落ち着いた振る舞いになります。
2. チューニング
ステージに入場してまずは、お客さんに一礼してからチューニングを始めると良いです。
チューニングしてからお客さんに礼をすると、変な空気が流れるので注意したほうが良いです。
リサイタルなどの場合、演奏を始める前にピアノとチューニングします。
弦楽器には重要ですが、フルートにとってはほとんど儀式的なようなもので、念入りにチューニングをしたからといっても良い音程で演奏できるわけではありません。
日頃いかに音程に気をつけて練習しているかという事のほうが、演奏前にチューニングをすることよりもはるかに重要です。
チューニングは小さな音で、できるだけ素早く行ないましょう。
何度も頭部管を抜き差しして音程合わせをすることが無いよう、スマートにチューニングを済ませるよう気をつけたほうが良いです。
3. 演奏中
演奏中に最も気をつけたほうが良いことは、フルートを振り回してしまうことです。
緊張やアドレナリンのせいか、本番では普段よりも楽器を振り回してしまいがちです。
しかし1音1音激しく楽器を振り回している演奏家を見ると、何だかあまり上手には見えません。
お客さんはダンスを見に来ているのではなく、音楽を聴きに来ています。
音楽の自然な流れの中で身体を動かすことを普段の練習から意識し、本番では必要以上に身体を動かしてしまわないよう、演奏中に頭の中で冷静さを常に保つことは大切です。
円熟した巨匠の演奏を見ると、無駄な動きがありません。
身体の動きをコントロールすることは、上がり防止にもなります。
4. 演奏後
失敗したり、自分の演奏に満足出来ないことはよく起こります。
しかし、演奏後にお客さんが拍手して頂いている間は必ず笑顔でいましょう。
演奏後のお辞儀は丁寧に、感謝の気持を込めてします。
自分の演奏の評価は演奏会が終わって家に帰ってからやればよく、ステージ上でやることではありません。
お客さんが時間とお金を割いてわざわざ会場まで来て、自分の演奏を聴いてくれたことに感謝をしなければなりません。
演奏後に良い笑顔でお辞儀をして舞台から去っていけば、いくらマズイ演奏をしても(たぶん)なんとかなりますし、印象も良いです。