古いシステムのフルートの音程の調整機構

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画像右側の黒い部分が、昔のフルートの音程を調整するための機構

古いシステムの音程調整、タル


古いシステムのフルートの場合、音程を調整するための機構は頭部管の伸びた部分(タル)にある。このタルの上部には金属(たいていは洋銀)の輪がはめ込まれており、下には同様に金属の輪が埋め込まれており、頭部管を支える”さや”としての役割を担っている。このタルの上部は頭部管の空気を漏らさないようにしなければならない。そしてあえて抜いたり差したりしてはならない。これらの理由から、頭部管とタルの継ぎ目にオイルを塗る必要はない。もし継ぎ目が硬すぎる場合には、皮脂(Talg)を塗る。もしゆるすぎる場合には蝋を継ぎ目に塗る。

1885年から、ピッチ調整のためにタルを導入する必要性は廃れていった(訳注:この年にベームフルートが作られている)。なぜならタルのある楽器は、ピアノの決められた音程に合わせて演奏することはほとんど不可能であり、フルーティストはとりわけオーケストラで他の楽器の音程に合わせなければならないからである。ほとんどすべてのオーケストラで常に、弦楽四重奏の音程が急に上がり、許容範囲を超えるので、高い音程に調整された楽器はオーケストラ奏者には良い。



頭部管の抜き具合


初めはだいたい3mmくらい頭部管を抜き、音程を調整する。そうすることにより、奏者は音程が高くなっても譲歩できる。もっと低い音程にする場合には、先ほどの3mmからさらに3から4mmほど抜くが、抜きすぎると歌口から反射板と、歌口から音孔までの距離の割合が狂い、音孔の位置が正しくなくなることで音の発音の明瞭さや正確な音程を失ってしまう。

全体の音程が高かったり低かったりと変動している時には、頭部管を内側や外側に向けるのではなく、頭部管を抜き差しして音程を調整する。頭部管を内側に向けすぎると音がこもり、私にとって特に歌口の横が隆起した頭部管(※歌口とその形状参照)ではうまくゆかなくなる。
歌口が隆起したシュヴェードラーフルート(レフォームフルート)

レフォームフルート


レフォームフルートの頭部管は強化された洋銀製の管と、ネジで固定されたリッププレートを持つ。音程を調整する機構は、頭部管と本体を差し込むところが役割を担っている。
この頭部管の特に優れているのは、容易な発音と、リッププレート(歌口)と奏者の唇(アンブシュア)を適切にできる点である。


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