倍音とフラジョレット

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全ての2、3オクターブは聴こえない幾つかの音を含んでおり、倍音という。
主に、楽器の低い音でフラジョレットで奏するとはっきりと聴き取れる。



オーバーブローによって1オクターブ、5度、3度の音が出される。



倍音は柔軟でしなやかな、とても心地の良い音色である。しかし、倍音は音程が低いので、他の普通の指使いと一緒にレガートで、"mf" 、または " p " のときに用いるには注意が必要である。


フラジョレットは、バイオリンでも出す事がきる音である。
フラジョレットの最も良い使用は、1つの音、もしくは早い音符が連続する時のみである。本来の運指で演奏されなければならない箇所では、時々利用するにとどめる。時折f、突然用いると、音の均一さを妨げ、それを取り囲む明るい音のなかのくすんだシミとなる。
ハーモニクスの指使い
※当時のフルートは現代のベーム式と指使いが異なる。


次の例では、よく知られた歌をフラジョレットで演奏できる。

※3段目"gewöhnl.Griffe"は、一般的な運指でという意味。


もし明るい普通の(本来の)指使いで出された音に先行し、もしくはそのあとでフラジョレットで奏すれば、この例の場合とても美しく幽玄な音色であろう。しかし、上記の歌の第一部を本来の指使いで演奏し、その間にフラジョレットをちりばめることを試みれば、不快な音が混じり音質が全く均一ではなくなってしまうことに納得するだろう。

次の例は初めは普通の指使いで、次にフラジョレットで吹き、最後にまた普通の指使いに戻すと、とても魅力に溢れた音色がする。
フラジョレットで音を出す際、の音程は低すぎるので、歌口をかなり外側に向け調整する。普通の指使いに移行する際、フラジョレットから普通の指使いに戻った事が気がつかれないようなPPにする。

※Off.Griffe は普通の指使いの意味。3小節目はフラジョレットとなり、4小節目の第2音から普通の指使いに戻る。その際、指使いが変わった事がわからないようにする。

作曲家は、フラジョレットを用いる際に音符の上に"⚪︎"もしくは"Flag.:"と記すことが一般的である。フランツ・ドップラーはフラジェレットに「ハーモニクス(Harmonique)」と記した。


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