音を出さなくても出来るフルートの練習方法まとめ(指のトレーニング、アンブシュア、タンギング、ブレスとビブラート)

音を出さなくても出来るフルートの練習方法まとめ(指のトレーニング、アンブシュア、タンギング、ブレスとビブラート)
今回は、大きな音を出さなくてもできるフルートの練習方法をご紹介します。

昨今の様々な制限の影響で、練習環境が変わってしまったり、練習場所が使えなくなってしまうなど、フルートを吹く場所がなくなって困っているのは私だけではないと思います。

自宅でフルートを吹いて家族やご近所さんに迷惑をかけたり、不要なトラブルになってしまう事は避けたいものです。

そこで、小さな音で出来るフルートの練習方法をまとめてみました。

音を完全に出さない練習だけではありませんが、よほど壁の薄いマンション出ない限りは問題のない程度の音量で出来る練習となっています。

私は1ヶ月以上フルートを音を出して練習することは出来なかった時期に、実際にこれらの練習をすることでコンディションを良い状態に維持することができました。

むしろ、毎日フルートを吹いていた頃よりも調子が良くなったので、これらの練習を実際に毎日やっております。

音を出さなくても出来るフルートの練習方法


音を出さなくても出来る練習では、以下の4つの項目に分けました。

どれか重点的に練習したい方は、上の目次からそれぞれの練習に飛んでいただければと思います。
  • フィンガリング
  • アンブシュア
  • タンギング
  • ブレスとビブラート
これらは、毎日練習しないとすぐに衰えてしまいます。

久しぶりにフルートを吹くと、次のような症状を感じることがありませんか?

  • 音がうまく出ない
  • 音色がかすれる
  • 指がうまく回らない
  • タンギングがうまく出来なかったり、舌が痛くなる
  • 息が続かない

いつも絶好調でいられるよう、以下ご紹介する4つの練習を毎日ぜひ試してみてください。

フィンガリングのために


指を動かすトレーニングに関しては、とにかく脱力して動かすことを意識しましょう。

楽器を持たなくても、指を毎日体操するだけで良い練習になります。

やり方は、『楽器がなくてもいつでも簡単にできる、指のトレーニング方法』で詳しく解説していますので参考にしていただければと思います。


アンブシュアのために


アンブシュアのためには、まずはホイッスルトーンを練習することがおすすめです。

ホイッスルトーンの基本的なやり方は、以前の記事に書いてあるので参考にしてください。


ホイッスルトーンは、フルートで普通に音を出すよりも繊細に息をコントロールしなければならないので、アンブシュアのための良いトレーニングになります。

以下は、ホイッスルトーンができる前提でのより進んだ内容の練習となっております。


タンギングのために


次は、タンギングの練習です。

タンギングも練習しなければ舌が衰えてしまい、タンギングが遅くなったりハッキリした発音が出来なくなってしまいます。

空気音だけでも十分練習することができるので、毎日必ず練習しましょう。

以下の記事に詳しくタンギングの練習方法をまとめてありますので、参考にしてください。


以下は無音でタンギングを練習するときのポイントです。

シングルタンギング


1. いろいろな子音で音階練習


実際にフルートで音を出すときと、空気音のみでタンギングを練習するのとでは、若干舌の使い方が異なります。

しかし、フルートで音を出しながらタンギングを練習していると、音を出しやすいタンギングしか使わなくなってしまいます。

あえてフルートの音は出さず、空気音のみで以下のタンギングの子音を練習してみると、タンギングの使い分けのための良い練習になります。

Di, Da, Du, Tu, Th, Lu

空気音のみで練習する場合、舌の位置や子音の発音に集中できるので、フルートで音を出した時にもこれらの練習が役に立ちます。

2. 曲を吹いてみる


イベール、バッハのパルティータやハ長調ソナタの第2楽章など、シングルタンギングで練習してみると効果的です。

ダブルタンギング


1. いろいろな子音で音階練習


タファネル=ゴーベールの第1、2、4番の音階を、様々なアーティキュレーションで練習してみましょう。

参考までに、第4番の音階練習の様々なアーティキュレーションの参考例は、以下の記事を参照してください。


2. 曲を吹いてみる


ベリオのセクエンツァの4連符やサン=サーンスの"鳥かご"など、かなり早いパッセージも練習してみると楽しいかもしれません。

前掲のタンギングのトレーニングの、記事の下の方のダブルタンギングの項目では、これらの参考楽譜を掲載しています。

ブレスとビブラート


息を長く伸ばす練習も毎日する必要があります。

久しぶりにフルートを吹くと、酸欠になったり息があまり続かないことがあります。

息をたくさん使うフルートのために、毎日少しづつ肺を慣らしておきましょう。

例えば、牧神の午後を2回ノンブレスで吹くと、30秒近くかかります。


このような練習を、空気音のみでやってみましょう。

またビブラートも空気音のみで練習する事ができます。

ビブラートをかけるには喉をうまく使わなければならないので、喉の筋肉を鍛えるためにも様々な速さのビブラートを、空気音のみでやってみましょう。

ビブラートの詳しい練習方法は、以下の記事でご紹介しています。


終わりに、この練習方法を作ったきっかけ


初めてこのような練習方法を思いついたのは、中学生の頃でした。

早朝や授業中など、どうしてもフルートを吹きたくても吹けないときに、どうやったら練習できるかばかり考えていました。

そうして思いついたのがホイッスルトーンを練習したり、授業中に指を動かしていたりすることでした。

それから時が経ち、留学中には外国のオーケストラのオーディションをたくさん受けている時にこれらの練習を思い出してやっていました。

オーディション前日にホテルに滞在していて練習したくても出来ないときや、飛行機に乗っているときなどにも少しでもフルートのための練習することが出来たのは、メンタル面でもかなり安定をもたらしたと感じています。

オーケストラに入って少しして昨今の外出制限、十分に練習することが出来なくなってしまったこの機会に、フルートの音を出さなくても出来る練習をある程度まとめてみました。

去年(2019年)の春先には1ヶ月以上、フルートを吹いて音を出すことが出来ませんでしたが、制限が緩和されてすぐにあった演奏会では無事に演奏することができました。

その時に、これらの練習方法がかなり有効だと感じたのでまとめてみた次第です。

これらの練習方法が、フルートを吹きたくても普段は思い切り吹くことのできない、フルートを愛する方の少しでもお役に立てれば幸いです。



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