フルートの調整に関していくつかの所見
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オーケストラで働く管楽器奏者なら、新しく購入した楽器で合奏しなければいけない状況で、他の管楽器の音程に変化が生じたり、またおそらく指揮者も邪魔の原因となることを経験している。しばしば、楽器に影響する欠点はこのような理由であるが、たいてい新しい楽器が古い楽器よりも十分に信用される。さまざまな観点からみて、長年使用を通して使えなくなった、昔の古い楽器は同じようには続けて使用されてゆくことはない。
新しい楽器を調整するために膨大な時間が必要である。管楽器奏者は冷静に、新しい楽器の長所と短所をはっきりと見極めておかなければならない。もし楽器製作家が良心的に職務をこなし、最良の仕事をしていれば、『常に楽器の後ろに座っている者』次第である(すなわち楽器の後ろにいる奏者自身)。
小さな欠点はどの楽器にもある。しかし性急な者にとってはものすごく大きく感じられ、もしそのために他の音楽家から苦情が来れば、良い機嫌でいることはすぐに終わる。
これらの不愉快なことはまた、管楽器奏者が楽器に適した指使いで努力し、それに正しく従っていることでも起こるうる。しかしそれも、楽器製作家との意見交換を通じて初めから避けることができ、奏者と製作者の意見が一致して楽器のよく無いところを取り除き、容易さを手にいれることができる。適切な希望に添うことは、有能で思慮深い楽器製作者を成功させるだけでなく、彼はそこから多く学び、また喜びすらもたらす。しかし常に望みが適切であるとは限らない。なぜなら奏者の奏法や、特にアンブシュアの状態は製作者にとってはわからないことであるからである。それゆえ、長所でないことは、新しい楽器を購入するさいに製作者に個人的に会って意見を伝えることができる。
私にとって、名工としての技術が認められるフルートは、ライプツィヒのK.クルスペのものである。この楽器を使用する時間が経つにつれ私の目的に適しており、正しい指使いを用いれば音程はほとんどピアノのように完全である。他のフルートは演奏する前に調整しなければならないので、こせこせした、かたよった主張するが、他の会社のフルートは調整できない。また私の知る限りでは、他のフルートの会社には無い運指表がある。
多数のフルートメーカーのフルートについては、『フルートの購入と値段』の項で考察した。楽器にとって最も大切なことは発音である。これがどこから見ても完璧でなければ、個々の低い、あるいは高い音は全く出無い。
歌口の調整が十分でなければ、ナイフやフライス、フレンチポリッシュが役に立つであろう。歌口を変化させるに先立って、楽器を最初の何週間かは全ての調で吹き、リスクが起こらないように、良い楽器に悪い欠点にだんだん慣れて、確かにわかってから整えること。
小さすぎると思われる歌口を、より良い音程にしようという目的で、自分の力で大きくしようと企てることはしないよう切に勧めたい。まず、歌口の根音(下のオクターブ)と倍音(上のオクターブ)に関する正確な知識を持っている必要がある。そして仮にこれらの知識を持っていたとしても、慣れない手つきで害悪を引き起こし、歌口が大きくなりすぎて音が半音上がってしまうだけでなく、また上のヘリ(Kande)や管の内側の歌口のヘリ、また管の下の問題になるキーの音孔も行なわなければならない。
歌口を自分で小さくするときには、危険は減る。なぜならシェラック(Schellack、樹脂)は簡単に取り除くことができるからである。もし音孔を小さくしようとする場合には、シェラックをエチルアルコールに溶かし、溶液を正しく沈殿させる。内側がよく見えるように管体を固定し、白いガーゼをフルートの管の内部に入れ、小さい丸い棒で溶液から適量の液体を音孔に付け、内壁を溶液で均等に覆う。そして数時間乾かす。液体が意図せず入り込んでいないか調べ、もし多ければ鋭いナイフでそぎ落とすか、他の場合には元に戻す。
高すぎるキーの音程を低くするときには、厚いタンポをつけるか、キーのコルクにシェラックを塗り、キーの開きを少なくする。低すぎるときには薄いタンポか、キーを高く上げられるようにし、音程を上げる。
低いCis,C,Hは特に楽器の軽い、また充実した音の発音に左右される。
フルートには低いオクターブの音の発音は扱いづらく、それゆえただ弱々しい音色である。これらの音は最高の歌口でも十分な音程では吹かれない。
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新しい楽器
オーケストラで働く管楽器奏者なら、新しく購入した楽器で合奏しなければいけない状況で、他の管楽器の音程に変化が生じたり、またおそらく指揮者も邪魔の原因となることを経験している。しばしば、楽器に影響する欠点はこのような理由であるが、たいてい新しい楽器が古い楽器よりも十分に信用される。さまざまな観点からみて、長年使用を通して使えなくなった、昔の古い楽器は同じようには続けて使用されてゆくことはない。
新しい楽器の調整
新しい楽器を調整するために膨大な時間が必要である。管楽器奏者は冷静に、新しい楽器の長所と短所をはっきりと見極めておかなければならない。もし楽器製作家が良心的に職務をこなし、最良の仕事をしていれば、『常に楽器の後ろに座っている者』次第である(すなわち楽器の後ろにいる奏者自身)。
小さな欠点はどの楽器にもある。しかし性急な者にとってはものすごく大きく感じられ、もしそのために他の音楽家から苦情が来れば、良い機嫌でいることはすぐに終わる。
これらの不愉快なことはまた、管楽器奏者が楽器に適した指使いで努力し、それに正しく従っていることでも起こるうる。しかしそれも、楽器製作家との意見交換を通じて初めから避けることができ、奏者と製作者の意見が一致して楽器のよく無いところを取り除き、容易さを手にいれることができる。適切な希望に添うことは、有能で思慮深い楽器製作者を成功させるだけでなく、彼はそこから多く学び、また喜びすらもたらす。しかし常に望みが適切であるとは限らない。なぜなら奏者の奏法や、特にアンブシュアの状態は製作者にとってはわからないことであるからである。それゆえ、長所でないことは、新しい楽器を購入するさいに製作者に個人的に会って意見を伝えることができる。
私にとって、名工としての技術が認められるフルートは、ライプツィヒのK.クルスペのものである。この楽器を使用する時間が経つにつれ私の目的に適しており、正しい指使いを用いれば音程はほとんどピアノのように完全である。他のフルートは演奏する前に調整しなければならないので、こせこせした、かたよった主張するが、他の会社のフルートは調整できない。また私の知る限りでは、他のフルートの会社には無い運指表がある。
調整
多数のフルートメーカーのフルートについては、『フルートの購入と値段』の項で考察した。楽器にとって最も大切なことは発音である。これがどこから見ても完璧でなければ、個々の低い、あるいは高い音は全く出無い。
歌口の調整が十分でなければ、ナイフやフライス、フレンチポリッシュが役に立つであろう。歌口を変化させるに先立って、楽器を最初の何週間かは全ての調で吹き、リスクが起こらないように、良い楽器に悪い欠点にだんだん慣れて、確かにわかってから整えること。
小さすぎると思われる歌口を、より良い音程にしようという目的で、自分の力で大きくしようと企てることはしないよう切に勧めたい。まず、歌口の根音(下のオクターブ)と倍音(上のオクターブ)に関する正確な知識を持っている必要がある。そして仮にこれらの知識を持っていたとしても、慣れない手つきで害悪を引き起こし、歌口が大きくなりすぎて音が半音上がってしまうだけでなく、また上のヘリ(Kande)や管の内側の歌口のヘリ、また管の下の問題になるキーの音孔も行なわなければならない。
歌口を自分で小さくするときには、危険は減る。なぜならシェラック(Schellack、樹脂)は簡単に取り除くことができるからである。もし音孔を小さくしようとする場合には、シェラックをエチルアルコールに溶かし、溶液を正しく沈殿させる。内側がよく見えるように管体を固定し、白いガーゼをフルートの管の内部に入れ、小さい丸い棒で溶液から適量の液体を音孔に付け、内壁を溶液で均等に覆う。そして数時間乾かす。液体が意図せず入り込んでいないか調べ、もし多ければ鋭いナイフでそぎ落とすか、他の場合には元に戻す。
高すぎるキーの音程を低くするときには、厚いタンポをつけるか、キーのコルクにシェラックを塗り、キーの開きを少なくする。低すぎるときには薄いタンポか、キーを高く上げられるようにし、音程を上げる。
低音
低いCis,C,Hは特に楽器の軽い、また充実した音の発音に左右される。
フルートには低いオクターブの音の発音は扱いづらく、それゆえただ弱々しい音色である。これらの音は最高の歌口でも十分な音程では吹かれない。
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