フルートの起源と発展6 シュヴェードラーフルートの開発

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上:シュヴェードラーとクルスペ(エアフルト時代)のモデル、1885年
下:シュベードラートクルスペ(ライプツィヒ時代)のモデル、1910年


すでに数年も前からベームフルートの研究に取り組んできたが、このシステムが私のすべての仕事の場面に有利になるとは確信できなかった。そして私は元のフルートにとどまっていた。1885年に懇意にしているエアフルト(Erfurt、ドイツ中部の町)の楽器製作家のクルスペ(Kurspe)に、私の望み通りの楽器を作ってくれるよう提案した。この楽器ではクルスペ氏によって応用された管体(円錐体)、および特に独自の歌口である。これはただ力強い音を生み出すだけでなく、非常に軽い音の発音も可能にする。また、理にかなった状態のキー、音孔、すべての調に適したキーの動きによって、音色の純正さが非の打ち所のないものになったため、以来私はもっぱらこのフルートを使うようになった。それゆえ、私の音の発音や芸術的な観点で、より高度な要求をしても満足のゆく結果となった。


またこの楽器は正当かつ裏付けによる公平な考えを生み出し、もしこの楽器が確実な運指表で音を出し、奏者がこれに順応すれば、可能な限り完璧な音の純粋さを、普通のフルートにおいても獲得することになる。先述私が強調した多数の替え指や芸術的運指は採用していない。運指の利便性は決して音の純粋さより優先させることではなく、逆に運指を優先すると音色が純粋かどうかという疑問を生む。そういうわけで、数少ない替え指のみ残されたことは災厄を減らし、私の信念に基づくとむしろ円錐管フルートの支持者に利益をもたらす。替え指が少ないという円筒管の利点を取り入れることは、そのような原則に基づき確実にさらに演奏面で適している。すべての変え指や芸術的運指をなくすことはベームフルートでもこの楽器でもできないだろう。その他、この本の『くすんだ音』に示してある指使いや、その他に『指使いの補足』で運指について参考になるであろう。この中で特に章に分けて強調しているのは、これらの変え指をどこで用いるかということである。良い音感や芸術的鍛錬なしに完璧にフルートをピアノのように演奏することは不可能であるし、そのようになることは決してない。せいぜい、奏者や作曲家がフルートで3オクターブやもっと高い音域を諦めるか楽器の音域を2オクターブに制限すれば、楽器製作家は理想の楽器を作り出すことができたであろう。これはもちろん不可能なことだ。奏者は、楽器を邪魔する3オクターブを吹くことを覚悟しなければならない。そのことを理解している楽器制作者は、しかし下の音域を調整する時、快適に3オクターブも演奏できるよう考慮しており、音域を変えやすいよう奏者に低いオクターブで弱々しい(matt)な音色の物で、上のオクターブをできるように努力するようにすすめる。


ここ15、6年前に作られた機能的な一般的なフルートも、私にとっては古い笛であり、新しく発明されたベームフルートのような面はなかったし、同時にクルスペや他の良い製作家の作ったフルートよりもかなり劣っていた。当時、キー付きのフルートはただ1キーのフルートにF,Gis,Bキーなどを取り付けただけのものだった。管の内径と指孔はキーの並びにふさわしくないため、それらのフルートは半分の音量しか出ず、それゆえ変え指を用いれば完全で力強い音を出せるといわれた。








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